2007 Fiscal Year Annual Research Report
一次二次救急施設における自殺企図者と非自殺企図者(自傷・自殺念慮患者)の比較研究
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19790834
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
丸田 真樹 Iwate Medical University, 医学部, 研究員 (70438472)
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Keywords | 自殺企図 / 自殺予防 / 自殺対策 / 精神科救急 / 再企図予防 / 自傷 / 救急医療 |
Research Abstract |
本研究では身体的重症度は高くなく自力または同伴者と受診する自殺企図症例の実態調査を2年間実施し、自傷、希死念慮で受診する患者群を対照群としたケースコントロール・スタディを行う。付加的にすでに平成17年度まで4年間実施しているデータとの年次推移も踏まえながら、得られた成果を精神科救急医療における自殺企図対策、再企図予防、うつ病予防に役立てることを目的としている。本年度は平成19年4月1日〜平成19年12月31日の期間に、岩手医科大学付属病院一次二次外来の総受診件数1,022件であり、そのうち自殺企図・自傷・抑うつ気分症例128件の情報を集積した。合わせて、平成14年4月1日から5年間に一次二次外来を受診した自殺企図363件を抽出し、「救急外来患者受付情報用紙」の調査項目(性別、年齢、自殺未遂の既往、同居状況、医療機関の受診状況、自殺の動機、ICD-10に基づく診断、治療、受診経路、転帰等)、に関して39歳以下の青年群300件と40歳以上の中高年群63件の2群に分け比較検討を行った。また、「ホームズ社会的再適応評価尺度」を用いて、自殺企図前のライフイベントについて調査し、点数化して評価・比較検討を行った。背景因子の検討から、中高年群では複数回の自殺企図行動をとることは少ないが、重症度が高い状態で自殺企図をして救急外来を受診していることから、相談体制の整備や周囲の気づきの重要性が示唆された。非雇用者の割合が高いことや経済的な困窮を動機とするケースが約13%存在することから、雇用対策や社会保障の充実も中高年め自殺率減少に寄与するものと考えられた。さらに、岩手医科大学付属病院一次二次外来、三次外来(岩手県高度救命救急センター)を受診した全ての自殺企図、自傷患者1,220件を対象として、上記調査項目の情報を集積し、青年群と中高年群を比較検討した結果を解析中である。
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