2008 Fiscal Year Annual Research Report
がん治療効果予測を目的とした新規PET検査用腫瘍イメージング製剤の開発と評価
Project/Area Number |
19790851
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金田 朋洋 Tohoku University, 病院, 助教 (50323019)
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Keywords | positron emission tomography / 腫瘍イメージング / 低酸素 / 血管新生 |
Research Abstract |
昨年度に標識・合成に成功したpositron emission tomography検査用トレーサーの内、低酸素イメージング製剤である^<18>F標識misonidazole(FMISO)を用いた腫瘍および臓器分布の評価およびイメージングを試みた。その際、一酸化窒素(NO)donorであるnitroglycerinをあらかじめ投与することによる、腫瘍集積の変化も検討した。NOは強力な血管拡張作用がよく知られるが、近年、癌治療において肺癌などの化学療法と併用することで治療効果が向上することが報告されている。その機序として腫瘍低酸素の改善が考えられているが、NO投与に伴う腫瘍内環境の変化を画像で検出した報告は未だない。我々は担癌マウス(ddyマウスにErlich carcinomaを移植)および担癌ラット(DonryuラットにLY80細胞を移植)を用い、コントロール群とNO投与群それぞれから腫瘍・筋・血液を採取し、FMISOの分布をガンマカウンターで測定した。ラットに関してはFMISO投与直後からのイメージングを浜松ホトニクス社製プラナーイメージング装置(PINK-5000)を用いて30分間のダイナミック撮影を行った。その結果、マウス・ラット共にコントロール群とNO投与群で有意な差は得られなかった。腫瘍筋肉比や腫瘍血液比は有意差は見られないもののコントロール群よりもNO投与群の方が高い傾向が見られた。NO投与により癌組織中の低酸素状態が改善するとするならば、FMISOの腫瘍集積は下がると思われる。今回、そういった結果が得られなかったことから、NOの抗腫瘍効果は低酸素状態の改善以外の機序が関与している可能性が示唆された。尚、プラナーイメージングにおいては時間経過とともに腫瘍コントラストの上昇が見られた。
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