2007 Fiscal Year Annual Research Report
固形癌に対するRI標識抗体治療の細胞殺傷メカニズムの解明と作用増強因子の探索
Project/Area Number |
19790855
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
花岡 宏史 Gunma University, 大学院・医学系研究科, 助教 (50361390)
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Keywords | 固形癌 / RI標識抗体 / 治療 / 放射免疫療法 / アポトーシス |
Research Abstract |
近年、治療用のRIを結合した抗体を体内に投与し体内からがんを治療する『放射免疫療法』が注目されており、イットリウムー90(90Y)結合CD20抗体は悪性リンパ腫に対する優れた治療薬として臨床の現場で使用されている。一方、固形癌に対する放射免疫療法は、種々の検討が行われているにもかかわらず大きな成果をあげられていない。その原因の一つとして、悪性リンパ腫に比べて固形癌の放射性感受性が低いことが指摘されている。そこで、固形癌に対する放射免疫療法の治療効果を向上させることを最終目標として、放射免疫療法による細胞殺傷メカニズムを解明し、治療効果を増強するような因子を探索することを計画した。まず、RI標識抗体による殺細胞効果のメカニズムを検討する目的で、培養した癌細胞に90Yを加えて実験した。しかし培養液にかなりの放射能を加えないと細胞死が起こらなかった。これは、in vivoにおいては癌細胞が立体的に密集しており、周囲に結合した抗体からの放射線による効果も期待できるが、培養系の場合は平面であり、放射線による治療効果がでにくいためと考えられ、実験系として不適であると考えられた。そこで、細胞を立体的に密集させるために、細胞を剥がして高濃度で懸濁させた溶液に90Yを添加し、一定時間後に90Yを除去後プレートに播いた。その結果、培養液に加えた場合よりも、低濃度、短時間で細胞死が起こすことができた。今後はこの実験系を用いて細胞死のメカニズムを検討する予定である。また担癌マウスに90Y結合抗体を投与し、経時的に腫瘍を摘出して免疫組織学的に検討を行ったところ、時間経過とともにアポトーシスが起こっていることが確認できた。今後は培養細胞によるアポトーシスの確認およびメカニズムの解析を行い、RI標識抗体の作用を増強する化合物を探索する予定である。
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