Research Abstract |
FPDを用いて息を止めた状態で撮影した胸部X線動画像を対象に,肺や心臓の血液循環に伴うX線透過性(=画素値)の変化を計測し,血流動態および分布を評価する新しい画像診断システムの開発に取り組んだ.収集した臨床画像を対象に開発した画像処理法を適用し,他の臨床データ(CT,肺機能検査,核医学検査)と比較することで,開発手法の臨床的有用性を検証した.さらに,局所肺血流の異常を検出するコンピュータアルゴリズムの開発を行った. その結果,画素値の血流性変化量の分布について,正常と異常の傾向を明らかにした.正常症例では肺門部から肺末梢にかけて減少し,左右対称である正常な肺血流分布と矛盾しない分布を示した.異常症例では,血流障害領域を画素値の変化量の減少としてとらえることができた.多くの症例で,画素値の変化量の分布とRIカウントの分布には相関がみられた.肺血流シンチグラフィをゴールドスタンダードした臨床評価において,肋間サイズ程度の血流障害領域を検出できること,および,肺シンチグラフィと同等の診断能を有することを明らかにした.さらに,左右対称な分布からの逸脱を根拠に,異常を検出できる見通しがたった.昨年,X線動画像の撮影が可能なポータブルFPDシステムが開発された(薬事承認済み).開発手法をポータブル撮影装置に組み込むことで,聴診器のような感覚で簡便かつ迅速にバイタルサインや心肺機能情報を取得できるようになる.災害時緊急および救急医療のためのポータブル心肺機能イメージングの開発と,その診断能の限界と適用範囲を明らかにすることが今後の課題である.
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