2007 Fiscal Year Annual Research Report
酢酸代謝に着目した新規分子イメージング用PET薬剤の開発
Project/Area Number |
19790862
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
森 哲也 University of Fukui, 高エネルギー医学研究センター, 助教 (40397287)
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Keywords | 薬学 / 放射線 / 脳・神経 / PET / 画像診断 |
Research Abstract |
酢酸誘導体のF-18標識フルオロ酢酸(以下、[^<18>F]FA)は、C-11標識酢酸と同様に腫瘍診断への有用性が示唆されているPET薬剤であり、C-11標識酢酸に比べて長時間の動態観察が可能となるだけでなく、薬剤合成従事者の被曝低減や普及性が期待できるなどメリットが多い。しかし、これらイオン性化合物は組織移行性が悪く、全身スクリーニングを視野に入れた場合に十分な性質を有しているとは言いがたい。これまでに申請者は、組織移行性の向上を目的として、高脂溶性かつ体内での速やかな分解が期待されるエステル化合物に着目し、[^<18>F]FAのプロドラッグとなり得るF-18標識フルオロ酢酸エチル(以下、[^<18>F]EFA)について検討を行ってきた。本研究では、病態での酢酸代謝イメージングの可能性を評価するため、担ガンマウスモデルによる[^<18>F]EFAの体内動態およびPETイメージング実験を行った。[^<18>F]EFAおよび[^<18>F]FAをマウス由来LLC1細胞を移植したC57/BL6マウスに投与し、それらの体内動態を観察した結果、両トレーサーとも腫瘍への有意な放射能集積が確認された。その集積は、[^<18>F]FAでは投与1時間後に最大値6.9%ID/gramを示したのに対し、[^<18>F]EFAでは投与早期から腫瘍に高い放射能集積を認め、投与30分後に最大値の7.0%ID/gramを示し、1時間後以降は[^<18>F]FAと同様の体内分布を示すことがわかった。次いで、この腫瘍モデルを用いて[^<18>F]EFAでのPETイメージング実験を行ったところ、[^<18>F]EFAは投与後速やかに全身に分布し、30分後には腫瘍が描写される様子を捉えることに成功した。以上の結果より、[^<18>F]EFAによる腫瘍のイメージングが可能であり、腫瘍への集積は母体化合物の[^<18>F]FAよりも早かったため、ドラッグデザインの妥当性が強く示唆された。今後、代謝機構に関する詳細な検討が必要と考えられる。
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