2007 Fiscal Year Annual Research Report
局部制御治療を目指したオージェ電子放射性薬剤のエネルギー分析装置の開発
Project/Area Number |
19790863
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
吉井 裕 University of Fukui, 医学部, 准教授 (20334047)
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Keywords | 放射線 / 癌 / 原子・分子物理学 |
Research Abstract |
本年度は、オージェ電子放射性薬剤から放出されるオージェ電子のエネルギースペクトルを測定するための測定システムの設計とその骨格部分の製作を行った。 この測定システムは、真空チャンバー内に組み込まれた電子エネルギー分析装置、試料導入系、電子信号捕集系、信号処理系などからなる。電子エネルギー分析器として半球型電子エネルギー分析器を採用したが、実験用真空チャンバーはこれに対応していなかったため、半球型電子エネルギー分析器を取り付けられるように改造した。 また、分析器の入るメインチャンバーと試料導入系をバルブで分断し、分析器を十分に真空状態に置いた後に試料導入系で試料をメインチャンバー内に導入する装置を開発した。バルブの開閉による真空度の変化を測定した結果、メインチャンバーを十分高真空下に置いた後であれば、試料導入系のターボ分子ポンプを5分間程度運転したところでバルブを開けて試料を導入してよいことが分かった。また、銅板の表面に電子ビームを照射し、放出される二次電子によって電子信号捕集系、信号処理系の試験を行い、良好な結果を得た。さらに、電子ビーム照射によって銅板から放出されるオージェ電子のエネルギー分析を行い、Cu-LVVオージェ電子スペクトルの観測に成功した。しかし、シグナル/ノイズ比が悪いなどの問題点も残っており、更なる改良を要する。 本研究により、この測定システムの骨格部分が完成し、今後わずかな改良を加えるだけで、薬剤の一部をなすRIから放出されるオージェ電子のエネルギー分析を行うことができるようになった。
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