2009 Fiscal Year Annual Research Report
局部制御治療を目指したオージェ電子放射性薬剤のエネルギー分析装置の開発
Project/Area Number |
19790863
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
吉井 裕 University of Fukui, 医学部, 准教授 (20334047)
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Keywords | 放射線 / がん / 原子・分子物理学 |
Research Abstract |
今年度は、まず昨年度の故障部分(電子銃フィラメント)を修理し、Arガスの電子エネルギー損失スペクトルを測定した。その結果、測定によって推定された電子の運動エネルギーと実際の電子の運動エネルギーのずれが2%程度であることが示された。また、得られたエネルギー分解能は通過エネルギーとエネルギー半値幅の比で100程度であった。これは半球型電子エネルギー分析器にしてはかなり低い分解能だが、電子の補修効率を上げるためにスリットを通常よりもかなり広く開けており、そのことを考慮すると妥当な値である。 このように、電子エネルギー分析システムが完成したため、実際に放射性同位元素から放出されるオージェ電子のエネルギー分析を試みた。^<64>Cuはオージェ電子放射性のRIで、局部制御治療に有用であるとして注目を集めている。^<64>Cuは福井大学高エネルギー医学研究センターで、サイクロトロンによって加速された陽子線を利用して^<64>Ni(p,n)^<64>Cu反応で製造されている。本研究では、^<64>Cuを^<64>CuCl_2および^<64>Cu-albuminという分子にして、放出されるオージェ電子のエネルギー分析を、5-100eVの領域で行った。その結果、電子エネルギースペクトルには明瞭な相違があり、オージェ電子のエネルギー分布が分子形状によって大きく異なることが示された。この内容は、平成21年8月に行われた原子衝突研究協会年会で発表した。 今後、さらに電子捕集効率を向上させ、短時間で長いエネルギー範囲のスペクトルを測定できるように改良を加えて行きたい。
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Research Products
(6 results)