2008 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病の超早期診断に向けた脳内βセクレターゼイメージング薬の開発
Project/Area Number |
19790867
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河嶋 秀和 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (70359438)
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Keywords | 痴呆 / 放射線 / 分子イメージング |
Research Abstract |
本研究の目的は、アルツハイマー病(AD)の超早期診断を目指し、分子イメージング技術を用いてAD脳病態を解明するためのin vivo放射性分子プローブを開発することにある。昨年度、研究代表者はβアミロイドペプチド産生の律速酵素であるβセクレターゼ(BACE)につき、その基質となるアミロイド前駆体タンパクの遷移状態を模倣した本酵素への高い親和性を有する低分子阻害剤、hydroxylethylamine dipeptide isoster誘導体(HEA)に着目し、その放射性ヨウ素標識体([^<125>I]I-HEA)の作製を報告した。 そこで、今年度は[^<125>I]I-HEAのBACEへの親和性および体内動態に関する検討をin vitro、in vivoにて行った。まず、BACEを遺伝子導入したHEK293細胞の培地中に[^<125>I]I-HEAを添加したところ、取込み開始30分後において、対照となる正常HEK293細胞と比較し、1.6倍と有意に高い放射能集積を認めた。また、[^<125>I]I-HEAを正常ddYマウス(6週齢)に静脈内投与したところ、投与10分後で脳への取込みは最大となり、0.10%ID/gを示した。一方、[^<125>I]I-HEAをSDラット(3週齢)に静脈内投与し、10分後に脳切片を作製、オートラジオグラムにて単位組織重量あたりの放射能を定量した結果、脳実質に放射能集積を認めた。さらに、BACE阻害剤の同時投与により、大脳皮質における本集積は有意に低下したため、[^<125>I]I-HEAが末梢投与後に血液脳関門を透過し、脳内BACEに結合することが示唆された。 以上の結果から、HEA骨格がin vivo BACEイメージング薬としての基本的性質を有することが示された。
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