2008 Fiscal Year Annual Research Report
神経因性疼痛下のアセチルコリン神経機能の画像解析とそれに基づく鎮痛作用部位の解明
Project/Area Number |
19790869
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上田 真史 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (40381967)
|
Keywords | 分子イメージング / 神経因性疼痛 / アセチルコリン神経系 / ニコチン性アセチルコリン受容体 |
Research Abstract |
昨年度の検討により、経因性疼痛状態で視床に在するニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)密が増加することが明らかとなった。そこで本年度は視床に存在するnAChRと鎮痛作用との関連を明らかにすることを目的とした。 まず、神経因性疼痛モデルラットに5IA(1-100nmol)を側脳室内投与して鎮痛作用を検討したところ、投与15分後をピークとする濃度依存的な鎮痛作用が認められた。そこで、その検討で使用した濃度の5IAに[125I]5IAを混ぜたものを側脳室内投与し、投与15分後における受容体占有率を測定したところ、占有率と鎮痛作用との間には有意かつ強い正の相関(R=0.97, P<0.05)が認められた。 次に、視床の中でも痛覚伝達に関与すると報告のあった後外側腹側核(VPL核)に着目して検討を行った。VPL核に5IA(1-50nmol)を局所投与したところ、濃度依存的な鎮痛作用発現が認められた。その作用はnAChR拮抗薬である同濃度のメカミラミンにより阻害されたことから、nAChRを介した作用であることが示された。また、メカミラミン(1-10nmol)をVPL核に投与したところ、濃度依存的な痛覚過敏作用が認められたことから、神経因性疼痛状態では内因性のAChがVPL核に存在するnAChRに結合し、痛覚抑制に関与している可能性が考えられた。さらに、メカミラミンをVPL核に前投与してから5IAを側脳室内投与したところ、前投与なしの場合に比べて鎮痛作用が70%低下したことから、側脳室内投与された5IAはVPL核に存在するnAChRを介して鎮痛作用を発現することが示された。 以上、本研究により、視床、中でもVPL核に存在するnAChRが神経因性疼痛抑制に重要な役割を果たすことが明らかとなった。
|
Research Products
(1 results)