2007 Fiscal Year Annual Research Report
バイスタンダー効果の抵抗性因子を標的とした殺腫瘍細胞効果の増強に関する研究
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19790870
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
菓子野 元郎 Kyoto University, 原子炉実験所, 助教 (00437287)
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Keywords | バイスタンダー効果 / 殺細胞効果 |
Research Abstract |
バイスタンダー効果発現において、細胞増殖、細胞死を抑制する因子を同定できれば、その因子を阻害することにより、バイスタンダー効果による殺細胞効果を大きくできるのではないかと考えている。今年度の研究実施計画では、バイスタンダー効果の抵抗性因子の同定が目的であったが、それを同定するために必要な細胞の培養条件の設定に時間を費やし、分子を同定するには至らなかった。しかしながら、Medium transfer法によるバイスタンダー効果発現に関する実験で、グリーマ細胞の培養条件とバイスタンダー効果発現レベルについての検討を行った結果、培養条件によりその効果が影響を受けることが明らかとなり、バイスタンダー効果発現の抵抗性因子の同定に役立つ結果が得られた。各細胞においてバイスタンダー効果によるDNA二重鎖切断が誘発されているか否かについては、53BP1フォーカスを指標とした。ラットグリオーマ細胞を用いた解析において、血清を含まない無血清合成培地を使用した場合の方が血清入り培地を使用した場合よりも、Medium transferによるバイスタンダー効果が大きく現れることが分かった。このことは、血清成分にバイスタンダー抵抗性因子が含まれる可能性を示唆している。現在、ヒトグリオーマ細胞を用いて同様の検討を行っている。グリオーマは、放射線抵抗性細胞分画を多く含む可能性が示唆され、バイスタンダー効果による効果的殺細胞作用の解明が望まれている。これまでに得られた知見は、グリオーマに効果的殺細胞効果をもたらすための手法の確立に重要である。
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