2008 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞を標的とした放射線増感剤としてのL-アルギニンの至適投与法の研究
Project/Area Number |
19790880
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
平川 雅和 Kyushu University, 大学病院, 助教 (20380454)
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Keywords | 悪性腫瘍 / 放射線治療 / 血管内皮細胞 / NO / iNOS |
Research Abstract |
研究者は、in vitroでの放射線照射した血管内皮細胞 (BAECあるいはHUVEC)とHepG2をL-arginine存在下で共培養することによりHepG2にアポトーシスが誘導され、この現象には放射線照射により血管内皮細胞に発現したiNOS由来の過剰な一酸化窒素NOが関与することを研究成果 (Cancer Research 62 : 1450-1457, 2002, 平成17, 18年度科学研究費補助金 (若手研究 (B) 課題番号17790866)として報告してきた。本研究では、上記の研究成果をin vivoで検証することを目的としている。すなわち、HepG2細胞をヌードマウスに移植し放射線照射を施行し、各条件にてL-アルギニンを投与することで、HepG2腫瘍の増殖能への影響を検証するIn vivoの実験を計画していた。 平成19年度に、実験系トラブルで予定実験不可能となった為、平成20年度に予定実験を繰り越して実験計画を立てたが、研究者の異動と研究環境整備に伴い、実験開始に約5ヶ月を要した。 実験は、Balb/c nude mice臀部皮下にHepG2細胞5×10^6個移植し、移植後2週間で、長径約1cmとなった腫瘍に総線量2Gy, 10Gy, 30Gyを1回X線照射した。照射後、通常餌群、L-アルギニン添加飼料群、通常餌+生理食塩水腹腔内投与、通常餌+L-アルギニン添加生理食塩水腹腔内投与群にて腫瘍の増殖能をIn vivo tumor growth delay assayで検討した。結果は30Gy照射単独群よりも30Gy照射+L-アルギニン添加飼料群にて腫瘍増殖能が有意を認めないものの抑制された。結果より、L-アルギニンの経口投与は放射線増感剤となる可能性が示唆された。近年、がん治療における放射線治療は重要性を増しており、治療効果を増大させる放射線増感剤としてL-アルギニンの有効性を示したことは、今後の放射線治療で重要と考えられた。
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