2007 Fiscal Year Annual Research Report
海綿静脈洞部硬膜動静脈瘻における短絡部の検討ならび選択的塞栓術の確立
Project/Area Number |
19790884
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
相良 佳子 Oita University, 医学部, 助教 (40398251)
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Keywords | 放射線医学 / 硬膜動静脈瘻 / 塞栓術 / 血管造影 / 画像診断 / 脳神経疾患 |
Research Abstract |
目的と研究の概要:海綿静脈洞部硬膜動静脈瘻に対する従来の塞栓術では、手技・被曝時間が長く、医療費も高額となるなどの問題点があった。選択的な経静脈塞栓術による、より安全かつ効率的な治療法の確立を目標とし、その前段階として海綿静脈洞部硬膜動静脈瘻における動静脈短絡部位の分布・数などの血管構築を明らかにする。さらに選択的塞栓術による治療を行い、新たな標準的治療法となりえるか否かを検討する。 方法:1999年から2006年までの従来の症例に、2007年度の新規症例を追加し、対象となった計33症例の海綿静脈洞部硬膜動静脈瘻について画像を検討した。それぞれ内・外頸動脈造影、椎骨動脈造影において硬膜動静脈瘻への栄養血管の数、短絡部の数・部位を評価した。部位については内頸動脈の走行を基準として血管造影の正面像と側面像から海綿静脈洞を8箇所に分類して評価を行った。 結果:栄養血管、短絡部、短絡する静脈嚢はそれぞれ、5.5(2-10)本、2.9(1-8)箇所、2.1(1-8)個であった。全体のうち84パーセントの症例では短絡する静脈嚢は2個以下であった。また33症例中28症例では海綿静脈洞の後方内側部分に短絡をしていた。このことから大部分の症例では選択的な経静脈的塞栓術が適応できるものと推察される。 尚、2007年までに得られていた途中成果については、正常解剖や流出静脈のパターンなど、症例呈示を含めて欧州放射線会議(2008年3月)で発表を行った。今後も継続して症例の蓄積を重ね、その所見の検討を継続する。選択的な治療を行った症例では治療効果やコストパフォーマンスの改善など、従来の治療法との比較検討を行い、選択的塞栓術の可否およびその有効性を検討していく。最終的にはこれら短絡部位や正常変異の系統的な分類を確立し、治療例での選択的塞栓術が標準的治療法となりうるかを明確にする。
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