2008 Fiscal Year Annual Research Report
IL-23によるTh1/Th17活性化機能を用いた癌特異的樹状細胞ワクチンの開発
Project/Area Number |
19790913
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 まりも The University of Tokyo, 医科学研究所, 助教 (50401253)
|
Keywords | 免疫学 / 樹状細胞 / サイトカイン / 癌治療 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
樹状細胞(dendritic cell : DC)は、生体内で自然免疫応答と獲得免疫応答の両者を制御できる、免疫系においてもっとも強力な抗原提示細胞である。免疫系が関与する疾患である癌の治療において、このDCに分子生物学的な操作を施し、その機能を最大限に利用するDCワクチンがさまざまなアプローチによって試みられている。 本研究課題では、成熟DCから産生されるIL-23の抗腫瘍免疫誘導における機能的役割、とりわけ、IL-23で活性化されるTh1およびTh17の抗腫瘍免疫における役割を解明することに焦点を絞り、IL-23を高産生するOK-432+PGE_2成熟DCを用いて、新しいDCワクチンの開発に向けた基礎的研究を進めた。IL23は、メモリー型CD4+T細胞(Th1)から産生されるIFN-γを増強することにより、癌特異的CTLの活性化とNKおよびNKT細胞を活性化することで強力な抗腫瘍効果を誘導する(KaigaT, Sato M et al, J Immunol., 2007)。よって、高いIL-23産生能を持つDCワクチンは、DCのアジュバントとしての高い機能に加え、IL-23によるメモリー型Th1細胞の誘導および維持の増強の可能性が考えられ、それらに伴う全身的な癌特異的CTLの活性化が可能であると考えられる。IL-23高産生DCが、メモリーT細胞およびエフェクターT細胞の活性化および増殖促進に有用であるかについて検討した結果、Th1のみならず炎症誘導作用が強いIL-17を産生するTh17と呼ばれる細胞集団を特異的に活性化できることが明らかとなった。今後、Th細胞の分化に与えるIL-23の影響をより詳しく検討することにより、OK-432+PGE_2成熟DCが、IL-23による免疫応答の増強を標的とした新たな癌免疫療法の戦略の一つとなる可能性を示していきたい。
|