2007 Fiscal Year Annual Research Report
移植後動脈硬化進展におけるADP受容体(P2Y12)の役割
Project/Area Number |
19790916
|
Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
松本 祐直 Hamamatsu University School of Medicine, 医学部, 助教 (80397380)
|
Keywords | 移植後動脈硬化 / 慢性拒絶 / ADP受容体(P2Y12) / 炎症 / smooth muscle alpha-actin |
Research Abstract |
慢性拒絶期にみとめられる移植後動脈硬化(血管内膜肥厚)は,移植された臓器の生存期間を制限する主な原因の一つといわれており,血小板由来の接着因子やサイトカインなどが,この病態形成の過程に関与することが知られている。血小板に発現するADP(adenosine diphosphate)受容体の一つであるP2Y_<12>受容体は,血栓の安定化に寄与することがよく知られているが,移植後動脈硬化への関与について詳細な解明には至っていない。そこで本研究では,P2Y_<12>受容体欠損マウスをレシピエントとして用い,P2Y_<12>受容体の移植後動脈硬化進展への関与を検討した。完全にMHC(major histocompatibility complex)の異なるマウス(C3H,H-2^k→C57BL/6x129S,H-2^b)頚動脈移植施行8週問後,移植片を摘出し,(免疫)組織評価を行ったところ,以下の結果を得た。野生型に比して,P2Y_<12>受容体欠損レシピエントマウスにおいて,頚動脈移植片の血管腔狭窄率が有意に低下した。また,移植片新生内膜におけるCD45陽性白血球数およびsmooth musclealpha-actin陽性細胞数が,P2Y_<12>受容体欠損レシピエントマウスにおいて有意に減少した。以上の結果より,同種異系マウス頚動脈移植モデルにおいて,P2Y_<12>受容体は移植後動脈硬化進展に大きく寄与していることが示唆された。今後,移植後動脈硬化進展に関与するサイトカインを中心に野生型マウスとP2Y_<12>受容体欠損マウスとの比較検討を行う予定である。
|
Research Products
(1 results)