Research Abstract |
1. ラット部分肝切除モデルにおける門脈中及び末梢血中の再生因子の発現に関する解析 ラットの70%肝切除モデルを用いて,肝・脾・小腸・胃・膵ではVEGFなどの肝再生因子がどのような影響を与えているかを検索した。【方法】70%肝切除したWister ratを,1,3,5,7日後に門脈血と末梢血を採血し,ELISAにて血漿中VEGF濃度を測定した。また門脈周辺臓器の組織を採取し,PTPCRにてmRNA発現を検索した。【成績】血漿中のVEGF濃度は,肝切除3,5,7日後に末梢血中よりも門脈血中の方が有意に高値であった。組織中VEGF mRNAは,肝臓・胃では,1,3,5,7日目,脾臓では,1,3,5日目,小腸では,1,3日目に肝切除前に比べて有意な発現を認めた。【結論】血漿中VEGF濃度が末梢血よりも門脈血で有意に高いのは,門脈周辺臓器が影響していると示唆された。 2. ラットsmall-for-size graft部分肝移植モデルの確立 30%の肝臓を移植する群(A群)及びドナーの全肝をそのまま移植する群(B群)を作成した。肝移植の手順はKamadaらの方法に準じた。尚、移植後に右胃大網静脈から門脈本幹に挿入した門脈カテーテルを用いて門脈圧を、トランジェット式超音波血流計を用い門脈本幹の血流を測定し門脈血行動態の比較をした。生存率はA群の方が悪い傾向にあった。部分肝移植時の門脈周辺臓器の関与について明らかにする。A群及びB群に於いて血液検体(末梢血,門脈血)、および肝臓、膵臓、脾臓、消化管組織の検体を採取したが、各種再生因子の結果は未だ得られていない。
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