2008 Fiscal Year Annual Research Report
小児生体肝移植後長期経過症例における移植肝加齢変化の解明-テロメア長による検討-
Project/Area Number |
19790926
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
川野 陽一 Nippon Medical School, 医学部, 助教 (50366671)
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Keywords | 移植外科学 / テロメア長 |
Research Abstract |
Telomere-Centromere ratio(TCR)を用いた組織Q-FISEによるテロメア長の測定法は、本研究の共同研究施設である東京都老人総合研究所老人病のゲノム解析研究チームにより様々な臓器で有効性と正確性を確認している(食道、甲状腺、舌、乳腺組織など)。しかし、肝細胞における測定実績がなかったため、測定条件の設定実験からのスタートを余儀なくされた。これらの前実験から、ホルマリン固定でも肝細胞でのテロメア長測定が可能であったが、凍結標本の方が測定に適していることを確認した。さらに、肝組織に適した核染色(DAPI)の条件設定を完了することが可能であった。また、線維芽細胞の安定したCell block作成も完成し、さらに同-プレパラート上に培養細胞Cell blodkと肝組織を置き、測定を行うことにより測定結果の正確性、再現性の向上を得ることも可能となった。現在、標本材料の収集とともに測定を行い、すでに12例で結果を得ているが、現在のところドナー年齢(グラフトの実年齢)とグラフト肝テロメア長の間に有意な相関は認めていない。12例中7例は、レシピエント肝テロメア長とドナー肝テロメア長に有意差を認めず、4例でレシピエント肝のテロメア長が有意に短縮していた。他の1例ではレシピエント肝のテロメア長が有意に長く、今後の症例を増やした検討が必要であると考えられた。また、レシピエント肝機能検査(ALT、DB、ALB、PT-INR、ヒアルロン酸、血小板数)とレシピエントテロメア長の間にも有意な相関を認めなかった。さらに、これまでの研究でテロメア長に個人差があることが判明しているが、本研究において極端にテロメア長が長い症例(Nomlalized TCR=1.13)と極端に短縮している症例(Nomalized TCR=0.27)があり、今後の症例数を増やした検討、合併症の有無、あるいはそれらの種類がテロメア長に及ぼす影響などの検討が必要である。
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