2008 Fiscal Year Annual Research Report
再生医療的アプローチによる肺移植後虚血再還流障害の予防
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19790931
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
金田 浩由紀 Kansai Medical University, 医学部, 助教 (20411522)
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Keywords | 再生 / 移植 / アポトーシス |
Research Abstract |
肺移植後の虚血再還流障害に対して、障害のメカニズムを解明するために、臓器移植時の虚面再還流障害での移植片での変化を検討した。昨年度に確立した、肺動静脈クランプ法による肺虚血モデルを本年度も用いた。(1)1時間虚血後に再還流しその後1時間で犠牲死させ肺標本を採取、(2)1時間虚血後に再還流しその後2時間で犠牲死させ肺標本を採取、(3)1時間虚血後に再還流しその後24時間で犠牲死させ肺標本を採取、の3群で比較した。摘出肺標本のアポトーシスの頻度をTUNEL染色によりの評価した。瓶出肺標本での1000視野中のアポトーシスが誘導された細胞の割合は、(1) : 1.8%、(2) : 2.G%、(3) : 3.5%であった。虚血再還流では、虚血後の時間経過と供にアポトーシスがより多く誘導されることが明らかとなった。また、Annexin Iの発現をreal-time PCRにて評価したが、発現量に相関を認めず、至適なPCRが行えなかった可能性がある。幹細胞様細胞の摘出肺標本中の割合を評価するため免疫組織学的検索を行った。c-kit、SP-C、CCAを用いて染色した。検討したマーカーでは細胞数と再還流後時間との相関を認めず、組織幹細胞を染色できていない可能性があった。より特異的な気道の組織幹細胞とそのマーカーを検索する目的に、気管切離後の人工気管移植による組織再生を観察すべくモデルを作成した.移植にはpolyglycolic acid(PGA)シートを用いたが、気管軟骨3リング切除ではモデルは1日以内に死亡し、2リング切除では平均10日間の生存は見られたが、気道再生の観察には不十分であった。このモテルの確立にはその他の補助的な方法が必要である。移植後の肺障害には、アポトーシス誘導増加により幹細胞による再生過程の関与が推測されるが、この確認には気道のより特異的な組織幹細胞マーカーを確立する必要性がある。
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