2007 Fiscal Year Annual Research Report
乳癌初期病変におけるホルモン受容体と細胞周期関連因子へのエストロゲンの作用
Project/Area Number |
19790932
|
Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
圦 貴司 Kansai Medical University, 医学部, 講師 (50330212)
|
Keywords | Breast cancer / Estrogen / Rat / N-methyl-N-nitrosourea / Intraductal proliferation / Ductal carcinoma in situ |
Research Abstract |
1.思春期前MNU投与によるラット乳管内病変モデルの作製 MNU(N-methyl-N-nitrosourea)は齧歯類に発癌能を有する化学物質として知られている。思春期前ラットにMNUを投与することにより、乳癌前駆病変・非浸潤癌の誘発を試みた。3週齢雌Lewisラットにkg体重あたり50mg MNUを単回腹腔内投与し、5・7・9週後に乳腺組織を採取し、組織学的に評価した。経時的な乳管内病変の発生増加をみたが、MNU投与後9週目にはすべてのラットに乳管内過形成(IDP)、および70%のラットに非浸潤乳管癌(DCIS)の発生が同定され、MNU投与後9週が乳管内過形成ならびに非浸潤癌の再現に最も適した時期であると判断し、以後の実験系として採用した。 2.乳癌前駆病変ならびに非浸潤癌に対するエストロゲンの影響 3週齢雌Lewisラット40匹に対し、50mg/kg MNUを単回腹腔内投与後、無処置対照群ならびにエストロゲン投与群の各群20匹ずつ分け、エストロゲン投与群には6週齢時から2週間、0.25mg17β-estradiolを含有した3週間有効の徐放性ペレットを皮下に埋没した。MNU投与後9週目にすべてのラットの乳腺組織を採取し、病理組織学的に評価したところ、対照群では1匹あたり4.5±0.5個のIDPおよび2.5±0.3個のDCISの発生をみたが、エストロゲン投与群ではIDPの発生状況には差をみなかったが、DCISは1匹あたり1.0±0.0個と対照群に比し有意に発生が低下した。エストロゲンの短期投与は多段階発癌説からみた乳癌前癌病変から癌への進展過程を抑制することが示唆された。
|