2008 Fiscal Year Annual Research Report
乳癌初期病変におけるホルモン受容体と細胞周期関連因子へのエストロゲンの作用
Project/Area Number |
19790932
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
圦 貴司 Kansai Medical University, 医学部, 講師 (50330212)
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Keywords | Breast cancer / Estrogen / Rat / N-N-methyl-N-nitrosourea / Intraductal proliferation / Ductal carcinoma in situ |
Research Abstract |
1. 乳管内病変に対する短期高容量エストロゲンの影響 平成19年度に行った実験より、3週齢雌Lewisラットに50mg/kg N-methyl-N-nitrosourea(MNU)を単回腹腔内投与すると、9週間後に高率に乳管内過形成(IDP)ならびに非浸潤癌(DCIS)の発生をみた。この乳管内病変誘発モデルを用い、短期高用量エストロゲン曝露が、乳管内病変の発生にどのような影響を及ぼすかを検討した。3週齢雌Lewisラット40匹に対し、50mg/kg MNUを腹腔内投与した後、20匹ずつ2群に分け、エストロゲン投与群には6週齢時から2週間、0.25mgの17β-estradiolを含有する徐放性ペレットを皮下投与した。12週齢で実験終了とし、すべてのラットの両側会陰〜腰部乳腺を摘出し、組織切片を作製した。 2. 乳管内病変におけるホルモン受容体ならびに細胞周期関連因子の発現変化 対照群と比較し、IDPは差をみなかったが、DCISの発生率は短期高用量エストロゲン投与により低下した(発生率 ; 対照群25%, エストロゲン投与群0%)。各群に生じたIDPに対し、ホルモン受容体ならびに細胞周期関連因子の免疫組織学的検討を行った。エストロゲン・プロゲステロン受容体、PCNAの発現は各群差をみなかったが、cyclin D1の発現は、エストロゲン投与群で有意に低下した(labeling index ; 対照群30.0±10.6, エストロゲン投与群15.8±4.2)。短期高用量エストロゲン投与による乳腺の小葉分花にともない、細胞周期G1期早期に関与するcyclin D1の発現低下が、IDPからDCISへの進展抑制に関与することが示唆された。
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Research Products
(2 results)