2008 Fiscal Year Annual Research Report
分子標的治療薬TGFbeta阻害剤の樹状細胞による胃癌ワクチン療法への応用
Project/Area Number |
19790948
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
田中 浩明 Osaka City University, 大学院・医学研究科, 講師 (90382168)
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Keywords | 腫瘍免疫 / 樹状細胞 / 分子標的治療薬 / TGF beta |
Research Abstract |
【背景】スキルス胃癌は胃癌のなかでも極めて治療に難渋する予後不良な癌腫であり、治癒切除後であっても腹膜播種を高頻度にきたす。したがってスキルス胃癌において腹膜播種に対する治療がもっとであるが、未だ有効な治療法は確立されていない。われわれの教室では、以前よスキルス胃癌細胞株を多数樹立し、TGFβがスキルス胃癌の腹膜播種の進展に関与していることを証明してきた。また、TGFβは、免疫抑制サイトカインとして、樹状細胞(DC)の抗原提示能や細胞傷害性T細胞(CTL)の機能を制することが知られている。つまり、細胞自身が産生するTGFβにより、転移が促進され、また抗腫瘍免疫反応が抑制されることの結果として、癌が進展すると考えられる、【目的】分子標的治療薬TGFβ Receptor Type 1(TGFβR)低分子阻害剤によるスキルス胃癌細胞特異的CTL活性およびin vivo腹膜播種モデルにおける癌細胞特異的CTL活性に及ぼす影響について検討した。【方法】ヒト単球由来DC(ヒトMoDC)培養にTGFβR阻害剤を添加し、同一人から抽出した末梢血単核球(PBMC)と培養した後、K562に対する細胞障害活性を検討した。続いて、TGFβR阻害剤処理したMo-DCを当科で樹立したスキルス胃癌細胞株OCUM8(HLA-A^*2402)のlysateをパルスして、CD8T細胞(HLA-A^*2402)と共培養した後、OCUM-8に対する細胞障害活性を検討した。次に、C57Bl/6マウスにcolon-26細胞を腹腔内注入し腹膜播種モデルを作成、TGFβ阻害剤を3日目と7日目に腹腔内投与し、14日目に脾臓を摘出、colon-26に対するCTL活性について検討した。【結果】低分子TGFβ阻害剤処理によりMO-DCはNK活性を増強させ、スキルス胃癌細胞特異的CTL活性の増強を認めた。マウス腹膜播種モデルにおいて低分子TGFβ阻害剤投与により、癌特異的CTL活性が有意に増強された。またこのメカニズムとしては、DCの成熟化をTGFβ-R阻害剤が増強させうることが考えられた。【結語】TGEβ阻害剤は、スキルス胃癌細胞および腹膜播種に対して、DCの成熟化を介し、CTL活性を増強させ得ると考えられた。
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Research Products
(3 results)