2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19790955
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
熊谷 厚志 Keio University, 医学部, 助教 (40383848)
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Keywords | 癌幹細胞 / 骨髄由来細胞 / 胃癌 |
Research Abstract |
(背景)癌は正常上皮あるいは組織固有の幹細胞の形質転換によって生じるのではなく、慢性的な炎症刺激によって各臓器に動員された骨髄由来細胞が形質転換することによって生じるという説がある。われわれは、癌を自然発生するトランスジェニックマウス(胃癌モデルマウス)を用いて、この仮説の検証を試みた。(方法) (1)controlとして、GFPトランスジェニックマウスのwhole bone marrowを移植したC57BL/6マウス(wild type)の胃を評価した。(2)FACSを用い、GFPトランスジェニックマウスの骨髄からMSCを、RFPトランスジェニックマウスの骨髄からHSCを分離した。放射線照射により骨髄不全とした胃癌モデルマウスの眼底静脈叢からMSC、HSC、およびrescueとしてwild type mouseのwhole bone marrowを移植した。(結果)(1)C57BL/6 GFP トランスジェニックマウスのwhole bonemarrowを移植したC57BL/6マウス(wild type)の胃では腫瘍は形成されなかった。胃切片の免疫染色では、GFP陽性細胞の存在が示唆された。 CD45との二重染色により、GFP陽性かつ非血球系細胞の存在も示唆された。また、FACSを用いた解析でも、GFP陽性かつCD45陰性の細胞集団の存在が示唆された。しかしながら、cytokeratinとの二重染色から、GFP陽性細胞は腺上皮そのものではなく、むしろ間質に存在する2SMA陽性細胞と類似の分布を示した。(2)胃癌モデルマウスでは、骨髄移植の有無に関わらず、生後約1年で肉眼的に明らかな胃腫瘍が形成されていた。腫瘍は前胃および腺胃の境界部に局在し、組織学的にある程度の異型性を有していた。
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