2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19790955
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
熊谷 厚志 Keio University, 医学部, 助教 (40383848)
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Keywords | 胃癌 / 幹細胞 / 骨髄 |
Research Abstract |
近年、炎症や潰瘍における組織修復のみならず、癌の発生においても骨髄由来細胞が大きな役割を果たしているという諸家の報告が見られる。われわれは、胃癌の形成における骨髄由来細胞の関与について、Ganマウス(胃粘膜上皮性腫瘍モデルマウス)を用いて検証を行った。本研究では、4-6週齢のGanマウスに、骨髄由来細胞である間葉系幹細胞(MSC ; GFPマウス骨髄由来)及び造血幹細胞(HSC ; RFPマウス骨髄由来)を混合移植を行った。移植後約50週経過後、腫瘍組織を採取し、病理学的な観点から検証を行った。病変組織を共焦点レーザー顕微鏡により評価した結果、ドナー由来のMSC及びHSCの腫瘍組織形成における有意な介入は観察されなかった。更に、anti-GFP及びanti-RFP抗体を用いて免疫染色を行って結果についても、骨髄由来細胞が腫瘍形成もしくは腫瘍間質組織の構築に関与しているような所見はみとめられなかった。結論として、胃癌の発生において、骨髄由来細胞であるMSC及びHCSの関与は示唆されなかった。しかしながら、本研究に用いたGanマウスは、個体発生の段階において、すでに胃粘膜上皮における腫瘍形成が運命づけられており、この実験結果からだけでは、腫瘍形成における骨髄由来細胞の関与を評価するには不十分であることが考えられ、ヘリコバクターピロリ感染および発癌性物質であるニトロソウレアを用いた実験系により胃癌発生を誘導したマウスを用いて、骨髄由来細胞の腫瘍形成への関与を検証している。その結果、胃粘膜に形成され腫瘍組織の病理学的検証からMSC由来と考えられる細胞が少数ではあるが病変部位に存在していることが示された。
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