2007 Fiscal Year Annual Research Report
急性循環障害時におけるトロンボキサンA2の血管新生増強メカニズムの解析
Project/Area Number |
19790979
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
天野 英樹 Kitasato University, 医学部, 助教 (60296481)
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Keywords | TXA2 / 血小板 / SDF-1 / VEGF |
Research Abstract |
虚血部での血小板活性化が血管新生の増強因子になっており、内因性のThromboxane A_2 が血小板活性化を介する血管新生の増強に役割を持つことも考えられる。そこで、マウス下肢虚血モデルを作成し、血小板凝集能に役割を持つTP受容体シグナリングが、実際に虚血部での血管新生の制禦に関与するかTP受容体欠損マウス(TP-/-)を用いて検討した。あわせて、IP受容体欠損マウス(IP-/-)を用い、虚血部での血小板凝集、血管新生の比較検討を行った。 一側の大腿動脈を結紫離断すると、同側め下肢血流は著しく低下し、その後徐々に回復し虚血が改善される。レーザードップラーで評価すると、TP-/-は野生型マウス(WT)及びIP-/-と比較し、虚血改善の有意な遅延を認めた。またTP-/-はWT及びIP-/-と比較し、虚血部でのPECAM陽性細胞数が有意に減少し、血清中の血管新生促進因子であるSDF-1とVEGF濃度の有意な低下を認めた。生体顕微鏡で観察すると、WTではTP-/-に比べ虚血部位での明らかな血流改善が確認出来た。WTの骨髄を移植されたTP-/-は、TP-/-の骨髄を移植されたマウスより有意な虚血の改善及びPECAM陽性細胞数の増加を認めた。レトロウイルスベクター用いてヒトthromboxane合成酵素TXAS cDNA を過剰発現させたC57/B16由来線維芽細胞を作成し、下肢虚血モデルの虚血部位筋組織に局所接種すると、空ベクターを導入した線維芽細胞投与群と比較し有意に虚血の改善を認めた。マウス下肢虚血モデルでは、虚血部のTPシグナリングを介する血小板凝集の増強がSDF-1とVEGFの遊離増大に関与し、血管新生を増強していることが判明した。今後、この血管新生時にどのような血液幹細胞が関与するか否か検討する方針である。
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