2008 Fiscal Year Annual Research Report
急性循環障害時におけるトロンボキサンA2の血管新生増強メカニズムの解析
Project/Area Number |
19790979
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
天野 英樹 Kitasato University, 医学部, 助教 (60296481)
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Keywords | トロンボキ酸A2 / 血管新生 / 血小板 / VEGF / SDF-1 / VEGFR1 |
Research Abstract |
1. 血中のCXCR4+VEGFR1+造血前駆細胞の発現の測定 虚血状態に陥ると血小板からVEGF,SDF-1が放出され、非内皮のCXCR4+VEGFR1+造血前駆細胞 (Hemangiocyteと命名)が、虚血部位に動員され虚血部の血管再生に不可欠であることを明らかにした。そこで我々は術後1, 3, 5日目に採血しフローサイトメトリーを用いてCXCR4+VEGFR1+造血前駆細胞の発現頻度をフローサイトメトリーを用いて測定したところTP-/-はTP+/+と比較し有意にCXCR4+VEGFR1+の低下を認めた。 2. VEGF及びSPF-1中和抗体による血流改善効果の遅延の検討。 血流改善がVEGF及びsDF-1によるものであるか確認するためTP+/+で下肢虚血モデルを作成し後、VEGF及びSDF-1中和抗体を連日投与 (腹腔内注射) したところ、TP+/+の虚血改善は有意に遅延を認めた。 3. 免疫電子顕微鏡像によるVEGF及びSDF-1の発現部位の同定 TP+/+及びTP-/-結紮、切離部分の血管周囲組織を摘出し、cXcR4とVEGFRIの抗体を用いて蛍光染色したところTP-/-の虚血.筋組織におけるCXCR4+VEGFR1+陽性細胞はTP+1+と比較しの低下を認めた 4. P+/+の骨髄細胞をTP-/-に移植し、血流が改善するか否かの検討 TP-/-に照射線を照射後6週間後に下肢虚血モデルを作成する。同日TP-/-及びTP+/+の骨髄細胞(3.0×106) を静脈注射し、虚血の改善が促進するか否かを経日的Laser Dopplerを用いて左右の血流比を測定したところ、TP+/+の骨髄細胞を移植したTP-/-はTP-/-の骨髄細胞を移植したTP-/-と比較し有意に虚血の改善が促進された。 以上に実験結果から虚血組織の改善するのにトロンボキ酸A2の受容体であるTPのシグナリングを介して血小板が活性化され、血小板が血管内膜に付着・凝集しSDF-1及びVEGFの血管新生増強因子を増大させ局所の虚血部分に骨髄由来のVEGFR1陽性細胞が動員され血管新生を増強させている可能性があることを示唆された。
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