2008 Fiscal Year Annual Research Report
ガス分子による癌治療一酸化窒素(NO)ドナーを用いた肺癌治療の開発
Project/Area Number |
19790981
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
朝倉 啓介 Keio University, 医学部, 研究員(非常勤) (90383786)
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Keywords | 癌 |
Research Abstract |
一酸化窒素(NO)ドナーを用いた肺癌治療の開発を目的して研究を行ってきた。平成19年度は、in vitroでマウス肺癌細胞株3LL、ヒト肺大細胞癌細胞株PC13、ヒト肺腺癌細胞株A549に対して、中時間作用型のDETA NONOate(Cayman chemical)が細胞障害作用を持つこと、その作用が低酸素濃度下で増強することを確認した。平成20年度はさらに、ヒト肺腺癌細胞株RERF-LC-KJ、ヒト肺扁平上皮癌細胞株RERF-LC-AI、ヒト悪性胸膜中皮腫細胞株ACC-MESO1、ヒト悪性胸膜中皮腫細胞株ACC-MESO4に対して、DETANONOateが同様の細胞障害作用を持つこと、その作用がアポトーシス誘導によるものであることを、各種アポトーシスアッセイ法にて確認した。In vivoでのNOドナーの抗腫瘍効果を検討するために、実験動物中央研究所が開発した免疫不全マウス・NOD/SCID/γnullマウス(NOGマウス)を用いた。NOGマウスはT細胞、B細胞機能に加えてNK細胞機能も障害されている免疫不全マウスであり、従来の免疫不全マウスよりヒト腫瘍細胞の生着率が高く、転移巣を形成しやすいという特徴がある。NOGマウスの背部皮下にRERF-LC-KJ、RERF-LC-AIが生着し、肝転移を形成することを確認した。また、ACC-MESO1を胸腔内に生着し、さらに縦隔・対側リンパ節転移を生じることを確認した。いずれも局所効果だけでなく転移の抑制効果も評価できる有用なモデルであるが、特にヒト悪性胸膜中皮腫のリンパ節転移モデルは珍しいものである。
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