2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19790995
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
押野 悟 Osaka University, 医学系研究科, 助教 (40403050)
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Keywords | 脳磁図 / 脳虚血 / 脳律動 |
Research Abstract |
脳虚血性疾患に対する脳磁図を用いた機能評価を目的として、A)運動障害のない脳主幹動脈閉塞性疾患患者(動脈硬化性病変群と非動脈硬化性群)の運動関連磁界、B)脳虚血後の機能回復に伴う律動変化、について研究を行った。律動変化は開口合成法を用いて定量的に解析した。 Aについて、38症例のデータが蓄積し、脳血流検査や画像での形態変化との対比も含め、統計学的な解析を行った。その結果、1.動脈硬化性群では、血管病変と対側の手の運動時に、通常とは逆のパターン、つまり同側半球に高い律動変化(同側賦活現象)が観察され、その頻度は非動脈硬化性群や正常対象群と比して、有意に高かった。2. 同側賦活現象を呈した例では、病変側の脳律動変化に有意な低下はなく、同側半球の変化が有意に高かった。3.同現象を呈した例は、動脈硬化性群の中で有意に高齢で白質変化や脳室拡大といった画像変化の程度が強かった、という知見を得た。同現象の要因として、病変側からの半球間抑制機能の低下によるものと考察した。今後は経頭蓋磁気刺激などを応用して、半球間の皮質抑制機能の評価を行う予定である。本現象は、動脈硬化性脳虚血における潜在的な機能異常を反映している可能性があり、同疾患における脳機能低下の早期発見及びその予防にも有用と期待される。 Bについて、脳梗塞後6例で回復過程での経時的な脳磁図測定を行った。自発脳磁界では、急性期での徐波成分の亢進と、回復に伴う周波数帯域の正常化が観察された。運動関連磁界では、病変側での賦活領域が広範化する例や逆に低下する例、同側半球の活動が増強する例など、様々なパターンが観察された。回復に伴う変化としては、同側・対側いずれでも活動部位がより限局化する傾向が共通してみられた。これらの所見は、脳損傷後及び回復過程の機能変化を反映しており、機能回復を目的とした新たな治療法の開発に応用できる可能性がある。
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Research Products
(5 results)