2008 Fiscal Year Annual Research Report
小児脳腫瘍における腫瘍幹細胞分離・培養とテーラーメイド治療の開発
Project/Area Number |
19790996
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
香川 尚己 Osaka University, 医学系研究科, 助教 (50444542)
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Keywords | 髄芽腫・PNET / 腫瘍幹細胞 / 分離・培養 / 複製・分化 / 神経幹細胞 |
Research Abstract |
前年に確立した腫瘍幹細胞の分離・培養の技術を用いて、神経膠芽腫の臨床検体から得られた細胞塊をFACSにて解析し、CD133陽性細胞の陽性率を検討した。30%近いもののあればほとんど認められないものも存在した。神経膠芽腫にはCD133陽性分画だけでなくCD133陰性細胞の中にも腫瘍形成能を有する細胞が存在した。膠芽腫の症例の腫瘍検体から分離したCD133陽性細胞、陰性細胞より採取したRNAを用いてsignal sequence trap法およびmicroarray法により、CD133陽性腫瘍幹細胞分画に高発現している分子候補を選択した。膠芽腫検体で候補分子の発現とCD133の発現との関係を検討し、4分子を候補として挙げ、CD133陽性細胞で高い発現を示し陰性細胞では発現低下が見られる分子をBTSC1, 2, 4とした。CD133陽性細胞をBTSC1, 2, 4の発現により陽性、陰性分画に分けtumor-sphere assayを行い、tumor sphere-initiating cellを濃縮するマーカーを選択した。CD133陽性細胞が認められないglioblastomaの症例でもBTSC4陽性分画にのみtumorsphere-initiating cellが認められた。BTSC4として得られた分子を抗体にて抑制することによりcell motilityは上昇し細胞侵潤などに関係すると想像された。腫瘍幹細胞により特異的なマーカーを同定し、その特性を精査することにより、腫瘍幹細胞を抑制する分子標的薬剤の開発の可能性を広げ、更なる腫瘍幹細胞研究に寄与することが出来ると考える。
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