2007 Fiscal Year Annual Research Report
くも膜下出血後の脳血管攣縮における脂質の役割-血管の攣縮因子と拡張因子の解明-
Project/Area Number |
19790999
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
白尾 敏之 Yamaguchi University, 医学部・附属病院, 医員 (70448281)
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Keywords | 脳血管攣縮 / sphingosylphosphorylcholine / Rho-kinase / カルシウムイオン / くも膜下出血 / cranial window |
Research Abstract |
1、小動物(ラット)を用い脳底部に設けた骨窓にcranial windowを設置し、人工髄液の灌流下(in vivo実験系)で脳底動脈の運動(血管径)を観察した。実験中はラットの血圧をモニターした。直腸温は温マットを用い37.0(℃)に、動脈血中C0_2濃度は人工呼吸管理にて40(mmHg)前後に調節した。 2、Cranial window内に灌流させる人工髄液中のK^+濃度を118 (mM)に上昇させた場合、非常に強い脳底動脈の収縮が認められた。高K^+刺激にて認められた血管収縮は人工髄液中のCa^<2+>濃度を0 (mM)に置換することで抑制され、高K^+脱分極による細胞内Ca<2+>濃度の上昇に伴った生理的な収縮と考えられた。以上のことから、我々が作成したcranial window modelでは主要脳血管において生理的な環境が保たれていることが示唆された。 3、Cranial window内に灌流させる人工髄液中にsphingosylphosphorylcholine (SPC)を混入させたところ脳底動脈の収縮運動が認められた。SPCが引き起こす血管収縮は時間的変化が緩やかで、最大収縮は0.5〜1.0 (hr)にて得られた。また、SPCが引き起こす血管収縮は3〜300(μM)の範囲で濃度依存的に増強された。SPCの投与中に血圧の著明な変動は認められなかった。これまでの研究結果から、SPCはin vivoの実験系においても脳血管に攣縮を引き起こすことが判明した。今後はSPCが引き起こす脳血管の攣縮がRho-kinaseの活性化を介しているかをcranial window modelにおいて解明していく必要があると思われる。
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