2008 Fiscal Year Annual Research Report
グリオーマにおけるP53リン酸化と標的遺伝子の選択性に関する検討
Project/Area Number |
19791002
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
天野 敏之 Kyushu University, 医学研究院, 助教 (70448413)
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Keywords | 脳腫瘍学 |
Research Abstract |
3. グリオーマ細胞におけるp53の特異的リン酸化の担う役割の検討 グリオーマ細胞株においてp53のN端側のセリンおよびスレオニン残基のリン酸化がp53誘導性アポトーシスを引き起こすが、その時にFasやPUMAなど特定のp53標的遺伝子の発現量が上昇していることがウエスタンブロット法で確認された。 ここでp53のN端側のセリン残基やスレオニン残基を選択的に擬似リン酸化させたp53遺伝子発現プラスミドやアデノウイルスを用いて、グリオーマ細胞株に特異的リン酸化を起こしたp53遺伝子を発現させることで、また選択的に同残基のリン酸化をブロックするように変異させたp53遺伝子を発現させることで、同残基のリン酸化が担う役割について検討した結果、18番目のスレオニン残基(Thr18)と20番目のセリン残基(Ser20)が選択的に同時にリン酸化された場合にp53誘導性のアポトーシスを引き起こすことがcell cycle analysisやAnnexin V assayで確認された。また同様にSer15とSer20が選択的に同時にリン酸化された場合も、p53誘導性アポトーシスを引き起こすことが確認された。 一方Ser15やSer20単独のリン酸化だけではアポトーシスが誘導されなかったことから、グリオーマ細胞株におけるN端側のセリン残基は複数箇所が同時にリン酸化された場合に、p53誘導性のアポトーシスが引き起こされることが示唆された。 この時のp53標的遺伝子の活性化をChIP assayで確認したところ、PUMAやFasなどの特定の標的遺伝子の転写活性が上昇していることが示された。 以上より、グリオーマ細胞におけるp53のリン酸化は、選択的に複数箇所同時にリン酸化された場合に、その標的遺伝子であるPUMAやFasの転写活性が上昇し、p53誘導性のアポトーシスを引き起こすことが示唆された。
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Research Products
(1 results)