2008 Fiscal Year Annual Research Report
くも膜下出血後の脳血管攣縮の危険因子である炎症性細胞集簇と低Na血症の病態的解明
Project/Area Number |
19791009
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
久保 慶高 Iwate Medical University, 医学部, 助教 (00316366)
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Keywords | subarachnoid hemorrhe / delaed ischemic neuroloical deficits / adrenomedullin / honatremia / adhesion molecule / hih-sensitivity C-reactive protein |
Research Abstract |
1) くも膜下出血患者における髄液中アドレノメデュリンの存在意義-低Na血症と症候性脳血管攣縮との関連- 【目的】くも膜下出血後の低Na血症は症候性脳血管攣縮の惹起因子である。我々は血漿ANP、BNP、アドレノメデュリン(AM)、髄液AMとくも膜下出血発症後の低Na血症、症候性脳血管攣縮との関連性を検討した。【対象ならびに方法】脳動脈瘤破裂患者32人(男性11人、女性21人、平均年齢62.1±10.2歳}。全例発症48時間以内にネッククリッピングを行った。発症1-3日目(early period)と8-10日目(late period)に血漿ANP、BNP、AM、髄液AMを測定した。また、血漿AMと髄液AMの相関も検討した。【結果】低Na血症は11人(34.4%)、症候性脳血管攣縮は6人(18%)で認められた。多変量解析ではlate periodのAMが低Na血症と症候性脳血管攣縮発生の独立因子であった。髄液AMはearly period、late periodともに血漿AMより有意に高値であったが、血漿AMとの相関は認められなかった。【結語】文献的に髄液AMは脳血管攣縮期に脳灌流圧を改善させるために上昇すると考えられるが、逆に腎交感神経を抑制してNa利尿を促し低Na血症と症候性脳血管攣縮をきたす可能性があると考えられた。 2) くも膜下出血患者における炎症性接着分子と高感度CRPの意義 【目的】接着分子である血清免疫グロブリンスーパーファミリー、セレクチンと高感度CRPをくも膜下出血患者で測定し、症候性脳血管攣縮との関連性も検討した。【対象ならびに方法】脳動脈瘤破裂患者33人(男性12人、女性21人、平均年齢62.2±10.8歳)、対照群として未破裂脳動脈瘤患者5人。全例発症48時間以内にネッククリッピングを行った。発症0日目(day 0)と7日目(day 7)に血清intercellular adhesion molecules(ICAM)-1, vascular cell adhesion mobcule(VCAM)-1,E-selectin, P-selectin, L-selectinと高感度CRPを測定した。【結果】脳動脈瘤破裂患者は未破裂脳動脈瘤患者に比べて、day 0の血清ICAM-1, VCAM-1, 高感度CRP、day7の高感度CRPが有意に高値であった。症候性脳血管攣縮は6人(18%)で認められた。症候性脳血管攣縮患者は症候性脳血管攣縮を有さない患者に比べて、day 0とday7の血清ICAM-1, VCAM-1, 高感度CRP、day7が有意に高値であった。【結語】血清ICAM-1, VCAM-1, 高感度CRPはくも膜下出血患者で上昇し、症候性脳血管攣縮とも相関する可能性がある。
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