2007 Fiscal Year Annual Research Report
神経成長因子による腰痛発症野解明とその制御による治療法の開発
Project/Area Number |
19791022
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
阿部 由美子 University of Toyama, 大学病院, 助教 (10361966)
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Keywords | 神経成長因子 / 腰痛 / 椎間板性疼痛 / 神経伸長 |
Research Abstract |
これまでに椎間板性腰痛患者の変性椎間板においてNGFをmRNAおよびタンパクレベルで定量的に評価した報告はない。2007年度の実験では、椎間板性腰痛患者から術中採取したヒト腰椎椎間板を組織培養し、その培養液中に含まれるNGFタンパク量をELISAにより定量評価した。その結果、腰痛に対し後方椎間板固定術(Transforaminal lumbar interbody fusion)を施行した腰痛患者の椎間板(n=7)におけるNGFタンパク発現量は、タンパク量あたり、線維輪18.7±3.0(pg/ml)、髄核5.4±9.5(pg/ml)と、線維輪で高値を示した。一方、外傷に対する手術により椎間板切除を行った症例(n=1)では、線維輪1.3(pg/ml)、髄核1.7(pg/ml)とNGFタンパク発現量が著しく少なかった。また椎間板ヘルニアにより椎間板切除術を施行した患者(n=2)では、線維輪2.7±0.1(pg/ml)、髄核8.8±0.8(pg/ml)と髄核で高い傾向にあった。 NGF抗体を用いた免疫組織染色では、腰痛患者の椎間板組織では、線維輪および髄核のいずれにおいても、非腰痛患者(椎間板ヘルニアおよび外傷)のものと比べ、NGF陽性細胞が多く分布しており、変性椎間板に侵入したと思われる血管においても、その発現が確認できた。 以上の結果から慢性腰痛患者においてはNGFタンパク発現量が高く、線維輪の方が髄核よりも多く産生している可能性が示唆され、腰痛発症には線維輪の関与が大きいことが考えられた。さらに症例数を増やして検討していく必要があると考えられる。
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