2008 Fiscal Year Annual Research Report
神経成長因子による腰痛発症の解明とその制御による治療法の開発
Project/Area Number |
19791022
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
淺沼 由美子 University of Toyama, 大学院・医学薬学研究部(医学), 助教 (10361966)
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Keywords | 神経成長因子 / 腰痛 / 間板性疼痛 / 神経伸長 |
Research Abstract |
これまでに椎間板性腰痛患者の変性椎間板においてNGFをmRNAおよびタンパクレベルで定量的に評価した報告はない。2007年度に続き、さらに症例数を増やして2008年度も、椎間板性腰痛患者から術中採取したヒト腰椎椎間板を組織培養し、その培養液中に含まれるNGFタンパク量をELISAにより定量評価した。その結果、腰部脊柱管狭窄症に対し後方椎間板固定術(Transforaminal lumbar interbody fusion)を施行した変性椎間板(n=5)におけるNGFタンパク発現量は、タンパク量あたり、線維輪219.7±77.1(pg/ml)、髄核171.0±37.4(pg/ml)と、線維輪で高値を示した。一方、圧迫骨折などの外傷で椎間板を切除し、採取した正常椎間板(n=4)では、線維輪25.2±7.7(pg/ml)、髄核5.3±1.2(pg/ml)とNGFタンパク発現量が著しく少なかった。また椎間板ヘルニアにより椎間板切除術を施行した患者(n=5)では、線維輪564.7±205.4(pg/ml)、髄核615.1±261.1(pg/ml)といずれも正常椎間板に比べ有意に高値であった(p<0.05)。一方、脊柱管狭窄症患者の変性椎間板においては正常椎間板に比べ、有意にNGF蛋白発現が高かったが(p<0.05)、椎間板ヘルニア患者と比較した場合、椎間板ヘルニアにおけるNGF発現の方が高い傾向にあったが、統計学的有意差には至らなかった。 またラットにおいてNGF蛋白を尾椎椎間板に注入することにより椎間板への神経伸長作用を免疫組織染色により確認した。NGF蛋白注入群では生食注入群に比べ線維輪におけるPGP9.5抗体により染色される神経線維の数が多く観察された。これらはさらに定量評価できるよう、次年度の課題に予定している。
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