2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19791026
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 全哉 Nagoya University, 医学部・附属病院, 医員 (50447819)
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Keywords | ケラタン硫酸 / グリア性瘢痕 / 軸索再生 |
Research Abstract |
【目的】Nアセチルグルコサミンに硫酸基を転移する酵素GlcNAc6ST-1をノックアウトし、このマウスで神経のケラタン硫酸(KS)がほぼ消失していることを見出した。GlcNAc6ST-1欠損マウスの大脳皮質に刺傷を加えると野生型で見られるKSの誘導がなく、グリア性瘢痕形成と神経軸索再生が阻害されることが判明した。しかしながら、上記の実験では神経機能を解析できないので、さらに脊髄損傷モデルを作成し検討した。 【方法】8週齢マウスのT10を椎弓切除後、impactorを用いて圧挫モデルを作成し(1)下肢機能評価:Grid test及びfoot strideを解析、(2)電気生理学的検討:6週目におけるMotor Evoked Potential(頚椎刺激、2-8mV 100回加算)のlatencyを解析、(3)組織学的検討:reactive astrocyte, typeIVcollagen, GAP43の染色を行ないdensity valueを解析した。 【結果】(1)下肢機能においては欠損マウスの方が脊髄損傷後3週目より有意に改善を示した。(2)latencyは有意に野生型マウス(2.84ms vs.2.06ms)の方が延長していた。(3)野生型マウスではreactive astrocyteが欠損マウスに比し、受傷後1週目より損傷部周辺に有意に集簇していた(32%vs.20%)。4週目におけるfibrous scarの面積も欠損マウスの方が有意に小さく(0.46mm^2vs.0.67mm^2)、損傷部周辺の新生軸索も欠損マウスに有意に多く認められた(fiber count:7220vs.2026)。 【結論】KSが機能的にも神経再生阻害に重要であることが判明した。KSはグリア性瘢痕の形成促進および新生軸索の再生阻害の2つの機構を使って神経再生を阻害すると考えられた。KSの発現を抑制すれば神経再生の促進につながる可能性が示された。
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