2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19791029
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岸田 友紀 Osaka University, 医学系研究科, 寄附講座助教 (20423163)
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Keywords | 漢方薬 / 骨粗鬆症 / 脂質代謝 / 動脈硬化 / 加齢 |
Research Abstract |
内容:近年、血管の石灰化の進展に、骨代謝に関わる因子が寄与していることがわかっており、骨代謝と脂質代謝・血管障害は相互に関連していると考えられている。本研究は、老年疾患に伝統的に処方されてきた漢方薬の、骨・脂質・血管に対する作用機序及び臨床効果を明らかにすることを目的としている。今年度の目標は、牛車腎気丸・五積散・疎経活血湯・防風通聖散・釣藤散・柴胡加竜骨牡蛎湯のうち、骨量増加・脂質代謝・動脈硬化を改善する効果のある漢方薬を同定することであった。様々なモデルマウスを用いたin vivoの実験において、上記のうち牛車腎気丸・五積散・柴胡加竜骨牡蛎湯で、骨量減少の予防効果をみとめた。柴胡加竜骨牡蛎湯における骨量減少の予防効果は、脂質代謝改善とは関係のない作用機序によることを見出したため、来年度には英語論文の投稿を予定している。牛車腎気丸・五積散では、骨量減少の予防効果と同時に脂質代謝改善効果もみとめた。 意義・重要性:漢方薬は、多種類の生薬を組み合わせた薬剤であるため、一剤で様々な薬効を持つ。従って、多彩な病態・症状を持つ場合にも、単剤で対応しうる。老年疾患に伝統的に処方されてきた漢方薬を、骨代謝のみならず、脂質代謝・血管障害についての作用を明らかにすることができれば、加齢に伴う複数の疾患に、安価な漢方薬を単剤で、臨床応用することが可能となり、患者にとっても医療経済にとっても大きな利点がある。
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