2008 Fiscal Year Annual Research Report
軟骨細胞外基質パールカンの椎体・椎間板形成における分子機構の解明
Project/Area Number |
19791047
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
石島 旨章 Juntendo University, 医学部, 助教 (70365576)
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Keywords | パールカン / 骨軟骨代謝 / ヘパラン硫酸プロテオグリカン / FGF / VEGF / 血管侵入 / 脊椎 / 椎間板 |
Research Abstract |
本研究の目的はパールカンの脊椎形成における作用機序の検討である。パールカンは軟骨発生に必須の分子である。ヒトでのパールカン遺伝子欠損病として周産期致死性の軟骨異形成症(DDSH)と、良性の経過をとる軟骨異栄養性筋強直症(SJS)が報告されている。その機能完全欠損に起因するDDSHと、機能部分欠損によるSJSの双方において、脊椎は長管骨に比べて変形が強い。これはパールカンの椎体形成における重要性を示す。しかし、パールカンの脊椎における発現については、出生後の牛の脊椎における報告が認められるものの(Histochem Cell Biol, 118, 269-280, 2002)、発生段階の報告は認められない。また、脊椎の発生段階における作用機序についての報告もない。 椎体の形成過程は、長管骨の内軟骨性骨化と同様のプロセスをたどることが知られている。平成20年度は、研究代表者がパールカンの長管骨における内軟骨性骨化での役割を検討してきた方法を用いて、その脊椎における役割について解明を試みた。 胎生16.5日の野生型マウスの脊椎において、パールカンは、長管骨の内軟骨性骨化の際と同様に、肥大軟骨細胞層にて細胞周囲に強く発現を認めた。また、パールカン欠損マウスの脊椎は、野生型マウスと比べ、著明な側彎変形を示した。脊索の残存を示唆する所見は、野生型もパールカン欠損マウスも認められなかったが、椎間板の髄核がパールカン欠損により低形成かつ偏在化していた。椎体形成も、野生型で認められる肥大軟骨の石灰化が、パールカン欠損マウスにおいては減少し、軟骨配列も乱れていた。椎間板形成には、制御された分子生物学機序に加え、軟骨細胞の秩序だった配列により生まれる均等な力学的負荷も重要な因子である。以上より、ヒトにおけるパールカンの機能異常による脊椎変化は、このような複合要因により発症することが示唆された。
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