2007 Fiscal Year Annual Research Report
修復不能な肩腱板断裂の新たな手術法の開発:骨頭上方移動を制御する肩関節包再建術
Project/Area Number |
19791048
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
三幡 輝久 Osaka Medical College, 医学部, 助教 (30425053)
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Keywords | 肩 / 腱板断裂 / 上方関節包 / 再建術 / 肩峰下インピンジメント |
Research Abstract |
肩の痛みを主訴に病院を受診される患者数は多い。その原因の一つとして腱板断裂があげられる。多くの場合は断裂腱板を大結節部に縫着する腱板修復術が選択されるが、断裂部が広範囲でかつ陳旧性の場合には、断裂腱板の変性と萎縮が強く、断裂腱板がもとの位置まで届かないために修復できないことがある。修復不能な断裂に対して、修復可能な腱板のみを修復する腱板部分修復術や、全く異なる腱の働きに期待する腱移行術などが行われることもあるが、手術成績は必ずしも良好とはいえず、いまだ修復不能な腱板断裂の手術治療法は開発途上にある。また腱板広範囲断裂を手術せずに放置した場合や、手術を行っても成績がよくない場合は、上腕骨骨頭は上方へ移動し骨同士(上腕骨骨頭と肩峰)が衝突するために変形性肩関節症へ進行する。今回我々は、屍体肩を用いて肩上方関節包を再建することで骨頭の上方移動を防ぐことができるかどうかを調査した。まず屍体肩の腱板(棘上筋腱)を切離することで上腕骨頭は上方へ移動し、肩峰と骨頭との接触圧は増大した。これは腱板断裂患者の上腕骨頭が肩峰下に衝突(肩峰下インピンジメント)して痛みが出現するメカニズムを表す。続いて上方関節包に対して大腿筋膜を移植することで、上方へ転位していた上腕骨頭は腱板切離前の状態にもどり、肩峰と骨頭との間の接触圧も軽減した。このことから上方関節包再建術は修復不能な腱板断裂に対して有用な治療法になりうると思われた。
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