2007 Fiscal Year Annual Research Report
骨細胞の三次元培養実験系を用いた骨リモデリング開始メカニズムの解明
Project/Area Number |
19791049
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
藏田 耕作 Kyushu Sangyo University, 工学部, 准教授 (00368870)
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Keywords | 骨細胞 / 三次元培養 / 疲労亀裂 / リモデリング / 破骨細胞 / 機械的刺激 |
Research Abstract |
「骨基質中の骨細胞ネットワークが骨代謝の制御を決定する重要な因子である」という知見に基づき,疲労亀裂に起因した骨リモデリング開始メカニズムに関して実験を行った.特に平成19年度は,骨細胞ネットワークによる疲労亀裂のセンシングメカニズムの解明を目的とした.以下にその内容と成果を列挙する. 1.骨細胞ネットワークに対する機械的損傷付与実験系の確立 疲労亀裂によって骨細胞ネットワークに機械的損傷が生じるという知見から,これを模擬したin vitro実験系を確立した.骨細胞を平面培養あるいは三次元ゲル包埋培養し,顕微鏡下のマイクロマニピュレーションによって細胞ネットワークに対して機械的損傷(スクラッチ)を与えることができた. 2.機械的損傷によるCa応答 骨細胞ネットワークに対して機械的損傷を与えたとき,細胞のCa応答について蛍光指示薬Fluo-8を用いた調査を行った.スクラッチによって細胞膜に損傷を受けた骨細胞ではFluo-8のシグナル強度がすみやかに上昇した.これは損傷部位からの細胞外液の流入が原因である.一方,ギャップ結合を介して繋がった隣接細胞へのCa伝播は認められなかった.損傷部位が細胞体,細胞突起に関わらず,結果に差異はなかった. 3.機械的損傷による細胞死 2と同様に機械的損傷を与え,細胞活性に及ぼされる影響を評価した.スクラッチを直接受けた細胞はすみやかに細胞死(ネクローシス)を起こした.その後,ミトコンドリア電位指示薬によって経時的にアポトーシス検出を行ったところ,損傷付与部位周囲でアポトーシス細胞の有意な増加を認めた. 以上の実験によって,骨に生じる疲労亀裂は非常に小さなものであり損傷を直接受ける骨細胞はわずかであっても,Ca伝播以外のなんらかのシグナルによって周囲の骨細胞がアポトーシスを生じるという形で疲労亀裂のセンシングを行っている可能性が示唆された.
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Research Products
(11 results)