2008 Fiscal Year Annual Research Report
損傷脊髄に対するグリコーゲンシンターゼキナーゼ3β阻害剤投与による軸索再生誘導
Project/Area Number |
19791051
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Research Institution | Clinical research Center, National Hospital Organization Murayama Medical Center |
Principal Investigator |
岩波 明生 Clinical research Center, National Hospital Organization Murayama Medical Center, 整形外科, 医員 (40327557)
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Keywords | 脊髄損傷 / 軸索再生 / 急性期治療 / 細胞移植療法 / GSK3β-inhibitor / 慢性期治療 |
Research Abstract |
脊髄損傷に対して急性期治療(炎症波及の抑制)と慢性期治療(軸索再生の促進)の同時解決を図るため、(1)神経幹細胞の生存・増殖力の促進(2)軸索の再生促進および(3)炎症波及の抑制効果を併せもつグリコーゲンシンターゼキナーゼ3β阻害剤(GSK3βinhibitorに注目し、昨年度に引き続き研究を行った。 本年度は、昨年度行ったマウス脊髄損傷モデルに対するGSK3β-inhibitor投与による運動機能の回復と軸索再生促進効果のメカニズムを追及した。 成体マウス(C57/BL6)の定量的な胸髄圧挫損傷モデル(Okada et al, Nat Med 2006)に対して損傷後より5日間、GSK3β-inhibitorを1日2回腹腔内投与する群と対象群の2群を作る。6週間後に灌流固定して得られた脊髄組織切片におけるLFB染色(脱髄部面積)、再生軸索(GAP43陽性線維)、GFAP陽性astrocyteで囲まれる損傷部面積を測定し2群で比較した。すると、LFB染色陰性の損傷による脱髄部面積は投与群で対照群より有意に少なく、GAP43陽性再生軸索は逆に有意に増大し、GFAP陽性astrocyteで囲まれる損傷部瘢痕の面積は有意に小さかった。 次に、実際にin vitroにおいてBrdUラベルしたastrocyteにGSK3β-inhibitorを投与し、astrocyteの増殖が促進されるかどうかを対照群と比較したところ、薬剤投与群で有意にastrocyteの増殖が認められた。さらに、マウス海馬Neuronを用いて本薬剤投与群、対照群との軸索伸長assayを行ったところ、薬剤投与群で有意な軸索伸長効果が認められた。 以上から、GSK3β inhibitor投与により損傷脊髄において上記(2)、(3)の効果をもたらした結果、損傷軸索の再生が促進され下肢機能の有意な回復につながったのではないかと考察している。
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