2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19791066
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
安氏 正和 Hiroshima University, 病院, 助教 (50397931)
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Keywords | 周術期管理学 / 片肺換気 / 肺障害 / 肺血管外水分量 / PiCCOシステム |
Research Abstract |
【目的】片肺換気下手術の麻酔中に, 経験的に実施されてきた虚脱肺に対する間欠的肺拡張の是非については明らかな証拠がない. そこで間欠的肺拡張を実施することが肺血管外水分量と術後経過に及ぼす影響を検討し, 得られた結果から, 片肺換気中の虚脱肺の適切な管理方法を確立することを目的とした. 【方法】肺腫瘍に対する片肺換気下肺切除術を受ける成人患者を対象とし, 虚脱肺を間欠的に拡張させる群と, 拡張しない群の2群に無作為に分けた. 間欠的に拡張させる群では, 20分毎に, 気道内圧20cmH_2Oの加圧(10秒間)と加圧解除(5秒間)を1分間繰り返した. PiCCOシステム(PiCCO, PULSION Medical Systems)(カテーテル類を消耗品として購入)を用い, 周術期の経時的な肺血管外水分量, 胸腔内血液量等のデータ収集を行い2群間で比較した. また, 手術後の経過を追跡調査し予後の比較も行った. 【結果】総症例数は38例で, 拡張する群は20例(内除外症例2例), しない群は18例であった. 両群の患者背景に差を認めなかった. 周術期の肺血管外水分量や胸腔内血液量等のPiCCOシステムによる計測値, ならびに術後臨床経過のいずれにおいても両群間に有意差を認めなかった. 【意義・重要性】本研究の結果から, 片肺換気時に虚脱肺を定期的に拡張させることは, 低酸素血症の回避手段としての実施を除けば, 必ずしも必要な手技ではないことが示唆された. このことは片肺換気における虚脱肺の管理方法に関する新たな知見であると考えられた.
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