2008 Fiscal Year Annual Research Report
難治性慢性疼痛に対する脊髄刺激電極の作用機序に対する検討
Project/Area Number |
19791077
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
田澤 利治 Kitasato University, 医学部, 助教 (40405006)
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Keywords | 神経障害性疼痛 / 脊髄刺激電極 / 疼痛抑制 / 下降性抑制系 / セロトニン |
Research Abstract |
平成20年度は、前年度に作製したモデルを用い、脊髄電気刺激の疼痛抑制機序に対する下降性抑制系の関与の検討を行った。 実験はすべて雄性SDラット(300-350g)を用いた。モデルの作製方法は前年度に従い、左L5神経切断1週後下肢の機械的刺激に対する疼痛閾値を測定し、左是の痛覚過敏の認められたラットに対し全身麻酔下に脊髄刺激電極を2本、さらに投薬のためのくも膜下カテーテルを挿入した。雷極挿入7日後まず下肢の機械的刺激にする疼痛閾を測定した後にラドで自由に動き回れる状態のまま50Hz・0.2秒/回・下肢筋力低下閾値の2/3程度の電圧を目安に脊髄電気刺激を1時間行いその後再び疼痛閾値を測定した。次に06ataら(Pain2001 ; 90 : 173-179)の方法に従いくも膜下カテーテルよりメチセルジド10μgを注入し、投薬1時間、2時間の機械的刺激に対する疼痛閾値を測定した。以上4点における痛覚過敏の変化について検討した。統計処理はt検定を用い、p<0.05を有意差ありとした。機械的刺激に対する疼痛閾値は左下肢では脊髄電気刺激により平均17.6gから32.6gに改善したが(P=0.004)、メチセルジド投与によりその効果は32.6gから18.7gに拮抗され(P=0.029)、その効果は投薬2時間後でも続いた。右下肢には変化は無かった (N=4) 。以上より脊髄刺激電極の疼痛抑制機序にセロトニンが関与していることが行動実験で証明された。本研究の成果については平成21年度の国際学会(北米麻酔学会)での演題発表及び英文学術誌への投稿を予定しているが、今後は横浜市立大学麻酔科学教室の協力の下、疼痛抑制機序におけるノルアドレナリンの関与の検討、マイクロダイアリシス法を用いた脊髄電気刺激前後の脊髄後角、脳幹部におけるセロトニン・ノルアドレナリンの変化の測定を行う予定である。
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