2007 Fiscal Year Annual Research Report
新しい脳水分測定法の開発と基礎的応用-水チャネルに着目した新脳浮腫治療法の開発-
Project/Area Number |
19791078
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
平手 博之 Nagoya City University, 大学院・医学研究科, 助教 (20363939)
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Keywords | アクアポリン4 / マニトール / 脳浮腫 / 脳水分測定 |
Research Abstract |
水が塩基とアルコールの存在下で,よう素,二酸化硫黄と定量的に反応することを測定原理とした新しい脳水分測定法を用い,ラットの脳水分を測定し,そのノウハウを蓄積し,安定した測定系を確立しっっある。文献的に報告されている約80%前後の水分量を,本測定法において計測でき,精度や再現性について問題なく測定できることが確認できた。本法の確立により,従来よりもより少量の検体,すなわち全大脳半球ではなく,脳表面の局所的な水分を20-30分程度の短時間で確実に計測できるようになった点が重要なポイントである。 本法を応用し種々の実験モデルにおいて脳水分の測定を開始している。まず様々な薬物をラット腹腔内に投与しそれら薬剤の脳水分に与える影響を調べるために脳の水分を測定している。薬剤は,マニトールや高張食塩水などであるが,これらは実際の医療現場において脳浮腫治療に用いられたり,あるいは通常の輸液療法に用いられているものであり,臨床像に即した変化を観察することができた。同時に血液生化学データや血清浸透圧を調べたり,脳に発現している水チャンネルアクアポリン4の発現をウエスタンブロットで確認中である。また液体窒素を使用して,ラットの脳表面の凍結損傷モデルを作成し,脳の各部位の局所的な水分の差異を検討している。従来の水分測定ではでは障害側,非障害側としての水分の検討しか困難であったが,我々の方法では浮腫形成部付近,障害側遠位,反対側の障害部位と同部位などより局所的な水分測定が可能であり,実際それぞれ局所において段階的に水分が変化している結果を得ている。これら結果をふまえ,今後も測定を継続し,脳浮腫の機序とアクアポリン4の発現の関係,脳浮腫治療薬の効果等の研究を進める足がかりとしたい。
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