2007 Fiscal Year Annual Research Report
アシデミアが蘇生後脳症における脳浮腫に与える影響-水チャネルの機能に注目して-
Project/Area Number |
19791079
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
森島 徹朗 Nagoya City University, 大学院・医学研究科, 研究員 (10448714)
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Keywords | 乳酸アシドーシス / アクアホリン / 脳浮腫 / 蘇生後脳症 / アストロサイト |
Research Abstract |
(1)乳酸アシドーシスによる様々な影響を検討するために,簡便で繰り返し作成可能なin vitroモデル系を開発し,系の有効性を評価する。ラット脳よりアストロサイト(Ast)を単離・培養し,乳酸を培養液に添加することにより細胞にアシドーシスを負荷する。まず,培養液に15から45mMの乳酸を添加して,培養液の状態がどのように変化するか調査した。培養液に各濃度の乳酸を添加し,24時間後に,培養液のガス分析および浸透圧を測定したところ,乳酸の濃度とともにpHは7.4から6.8へ低下したが,CO2や02の分圧はほぼ一定であることがわかった。 また,浸透圧は若干の上昇を認めたが,今回の実験で使用した35mMでは有意な増加を認めなかった。形態的には,光学的に観察した範囲では明らかな変化を認めなかった。 (2)(1)においてモデルを確立した後,AstにおけるAQP4の発現変化を調査した。培養液に各濃度の乳酸を添加し,24時間後にAQP4蛋白の発現をウエスタンブロットにより測定したところ,35mMをピークに増加した。一方,乳酸によるAQP4の発現をmRNAレベルで検討したところ有意な増加を認めなかったため,蛋白合成後の調節についてさらなる検討を行った。蛋白合成阻害薬であるサイクロヘキシミド存在下で,乳酸によるAQP4蛋白量の変化を測定したところ,乳酸によりAQP4蛋白の低下が抑制されたことから,乳酸によるAQP4発現増加は蛋白分解の機序が抑制されて生じたと推測された。 さらに,乳酸によるAQP4蛋白の細胞内局在の変化を検討したところ,乳酸を添加することによってAQP4蛋白は細胞膜に集積した。
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