2007 Fiscal Year Annual Research Report
麻酔薬、鎮痛薬のカプサイシン受容体に対する新たな作用機序の解明
Project/Area Number |
19791094
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
岡本 隆史 University of Occupational and Environmental Health, Japan, 産業医実務研修センター, 助教 (60446119)
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Keywords | TRPV1 / パッチクランプ / Xenopus oocytes / スライス標本 / 培養DRG細胞 |
Research Abstract |
平成19年度は以下2項目に対して結果を得た。 1 痛みに関与していることが示されているTRPV1が、DRG細胞においてどのような存在様式を示すのか、細胞内Ca^<2+>変動を用いて検討した。 細胞内のカルシウムの上昇反応をTRPV1の刺激薬であるカプサイシンで確認した。測定条件としては、培養3〜5日目が最も適していると考えられ、本実験でもその条件の培養細胞を用いた。また、すべての細胞がカルシウムにより上昇するのではなく、一部の細胞のみが上昇する傾向が見られた。これは、TRPV1受容体がすべての細胞に存在しているわけではなく限局していることを示唆している。 2 TRPV1が、中枢神経系での知覚伝達経路の中で、中脳レベルにおいてどのようにバニロイド刺激に対して反応するのかを、新鮮標本のスライスパッチクランプ法を用いて電気生理学的に観察した。 中脳新鮮標本のスライスパッチクランプ法を用いた電気生理学的観察を行った。その結果、抑制性シナプス後電流(inhibitory postsynaptic currents:IPSCs)を測定することができた。今後は延髄、橋、視床、大脳においても同様の測定を行うことを計画しており、すでに一部実験を開始している。 この反応に対して麻酔作用を有するエタノールを使用して、この反応がどのように変動するかを観察することにも成功しており、エタノール投与によりIPSCsの頻度は有意に増加するという結果を得た。これはこの伝達経路、特に抑制系に対してエタノールは抑制作用を有し、何らかの関与を示す結果であると考えられた。
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