2007 Fiscal Year Annual Research Report
腎細胞癌に対する免疫細胞療法と血管新生阻害薬の新規併用療法の開発にむけた基礎研究
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19791097
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
及川 剛宏 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (00361345)
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Keywords | 癌 / 免疫学 / トランスレーショナルリサーチ |
Research Abstract |
1.腎癌患者血漿のサンプル採取とサイトカイン、バイオマーカーの測定 腎癌患者の血漿を採取し、IFNγ,TNFα,IL-2,IL-4,IL-6,IL-10を、Cytometric Bead Array法を用いて同時に測定した。一部の症例で血清IFNγおよびIL-6の高値が認められた。 2.腎癌細胞株のVEGF蛋白産生量の測定 本研究の計画では2-oxoglutarateを用いる予定であったが、海外において既に腎癌の抗VEGF分子標的治療に用いられているソラフェニブの供与が得られた。より臨床応用に近い研究を目的としているため、本年度はソラフェニブを用いて検討した。 腎癌の初代培養株およびIFNαに対する感受性・非感受性の細胞株、計14株について、ソラフェニブ添加後の細胞増殖を、添加量および培養時間別にWST-8assayで測定した。その結果、10μM添加、72時間後に細胞増殖の差が顕著に認められた。この細胞増殖性の結果から、ソラフェニブ感受性細胞株1種および非感受性細胞株2種が同定された。また、ソラフェニブ添加後に発現が変化する遺伝子の定量PCRを行い、ソラフェニブ感受性に関わる候補遺伝子をピックアップした。 上記の腎癌細胞14株について、ソラフェニブ添加量(0,0.01,0.1,1,10μM)および培養時間(0,8,24,72時間)別に培養上清を採取した。現在、VEGF蛋白量の測定と解析を継続中である。 3.ソラフェニブの添加による腎癌細胞株のMHC class I発現の解析 上記の腎癌細胞株にソラフェニブを添加し、MHC class I発現の変化を検討するための条件設定を行った。現在、FACSでの測定と解析を継続中である。 4.ソラフェニブの添加によるin vitroでのNK活性の検討 ソラフェニブ非感受性腎癌細胞株とNK細胞感受性ウィルムス腫瘍細胞株を用い、それぞれソラフェニブを0,1,10μM添加して42時間培養した。これらの細胞にあらかじめ培養したヒトNK細胞を加え、標的細胞の傷害活性をWST-8 assayで測定した。ソラフェニブの添加によりいずれの標的細胞においてもNK細胞による傷害活性が増強する傾向がみられた。特にソラフェニブ10μMの添加により、24-30%の細胞傷害活性増強が認められた。この結果から、ソラフェニブの併用がNK細胞療法の効果をin vitroで増強する可能性があることが示唆された。
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