2009 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺癌の進展・転移における基底膜分解酵素活性の分子機序の解明と臨床応用
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19791101
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
神谷 直人 Chiba University, 大学院・医学研究院, 助教 (40436431)
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Keywords | 前立腺 / 骨転移 / MMP / Film in situ zymograph / zymography |
Research Abstract |
前立腺癌が骨転移を来すためには血管新生が促され、骨基質を溶解しなければならない。造骨性変化が中心の前立腺癌においても、溶骨性変化は極めて重要である。骨転移の機序としてMMP(matrix metalloproteinase)の関与が示唆されている。 我々は、今日まで蓄積してきたMMPに関連する研究成果を踏まえ、前立腺癌骨転移におけるMMPsを介する分子機序の解明及び骨転移症例に対するバイオマーカーとしてのMMPの臨床的有用性について検討した。前立腺局所のMMPsの発現強度に対する評価として、前立膜癌(骨転移、非骨転移症例)症例および前立腺非癌症例の治療前前立腺針生検凍結組織に対して、FIZ(film in situ zymography)ならびにZymographyを施行。前立腺局所でのゼラチナーゼ活性を測定した。また、治療前前立腺針生検凍結組織に対してMMP-2・MMP-9の免疫組織化学を施行し、MMPの局在を検討した。治療前血清MMP-2・MMP-9を測定し、前立腺癌骨転移における各種臨床病理学的パラメータならびに前立腺局所でのゼラチナーゼ活性との相関を比較検討した。 FIZ・Zymography・免疫組織化学の結果、前立腺局所でのゼラチナーゼ活性は、MMP-2が強く関与していることが示された。前立腺癌骨転移症例では、非骨転移症例と比較して、前立腺局所においてMMP-2の強い活性を認めた。血清MMP-2値は、骨転移症例では非骨転移症例と比較して有意に高値であり、骨転移の広がりと相関を認めた(p<0.05)。一方、MMP-9に関しては、Zymography・免疫組織織化学・血清値ともに有意差を認めなかった。 以上より、前立腺癌の骨転移にはMMP-2が強く関与しており、前立腺局所におけるMMP-2の活性ならびに血清MMP-2値は、バイオマーカーとして有用であることが示唆された。
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