2008 Fiscal Year Annual Research Report
腎癌の悪性形質におけるジシアリル糖鎖の作用機構と治療応用の基礎的検討
Project/Area Number |
19791106
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Research Institution | The Noguchi Institute |
Principal Investigator |
土田 明子 The Noguchi Institute, 研究部, 研究員 (70378024)
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Keywords | 腎癌 / 糖脂 / 糖転移酵素 / ジシアリル糖鎖 / 腫瘍マーカー |
Research Abstract |
腎癌細胞株に発現している糖脂質糖鎖の解析により、Disialyl糖鎖の発現パターンの変化が腎癌での悪性化や転移性に関連していることが推測された。腎癌細胞株にはGlobo系列、Lacto系列を含むDisialyl糖鎖が存在するが、本研究ではとくにLacto系列のDisialyl Lc4PSLc4)の末端にGalNAcがβ1-4結合した新しいDisialyl糖鎖(GarNAc-DSLc4)の合成機構と機能の解析を行った。これまでに、GaNAc-DSLc4の合成に関わる糖転移酵素遺伝子P4GarNAc-T2を、GaNAc-DSLc4糖鎖抗原をほとんど発現していない腎癌細胞株に遺伝子導入し、糖鎖リモデリングの結果惹起される表現型の変異を解析してきた。樹立したGalNAc-DSLc4安定発現株の癌性形質(増殖能・浸潤能)については、コントロール細胞株と比べ増殖度・浸潤能の亢進が認められた。また、リアルタイム細胞形態計測システム(RT-CES)を用いて、さまざまな細胞外基質をコーティングした表面に対する細胞の接着形態を調べたところ、GalNAc-DSLc4安定発現株はラミニンコーティングプレートに特異的に接着することが明らかになった。またラミニン表面に対する接着は抗インテグリンα3抗体の存在下、強く阻害されることが分かった。ラミニンとの結合に関わる接着分子インテグリンの発現を調べたところ、安定発現株ではインテグリンβ1がraft domainにも存在していることが明らかになったが、インテグリンα3の局在についてはまだ明らかにできていない。また、これまでの結果からGalNAc-DSLc4糖鎖が細胞膜上でのインテグリン分子の局在に影響している可能性も考えられたが、GalNAc-DSLc4糖鎖抗原のraftdomainへの局在化については、まだ明瞭な結果が得られていない。
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