2007 Fiscal Year Annual Research Report
過活動膀胱の膀胱興奮性におけるKit陽性細胞の役割
Project/Area Number |
19791117
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
窪田 泰江 Nagoya City University, 大学院・医学研究科, 助教 (00381830)
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Keywords | 過活動膀胱 / 間質細胞 / Kit / SCF |
Research Abstract |
1,下部尿路閉塞(BOO)モデル膀胱におけるKitおよびStem Cell Factor(SCF)の発現 モルモットを用いてBOOモデルを作成し,過活動膀胱の発症機序について検討した。KitおよびKitを活性化するリガンドであるSCFの局在と量的変化につき検討したところ,Kit陽性ICC様細胞は,BOOモデルの膀胱粘膜下層および漿膜側を中心に,正常膀胱に比べ増加していた。またSCFは尿路上皮を中心に発現が増加していた。 2,ICC様細胞の超微細構造からみた過活動膀胱の発症機序 正常膀胱とBOO膀胱におけるICC様細胞の形態学的変化,また神経や筋細胞との位置関係の違いを調べた。紡錘形をしたICC様細胞の細胞質にはミトコンドリアや粗面小胞体が豊富に存在し,細胞同士が互いに連絡しあって,神経・平滑筋とも密接している像を観察した。BOO膀胱においてはICC様細胞が一部変形しており,これらの微細構造の変化が過活動膀胱の発症につながっているものと推察された。 3,BOOモデル膀胱におけるKit抑制因子(グリベック^[○!R])の作用機序 メシル酸イマチニブ(グリベック^[○!R])は,Kitを抑制することにより元来慢性骨髄性白血病に対する治療薬として開発されたが,ICC由来の消化管間葉系腫瘍に対しても効果が確認されている。私たちはこの点に注目し,BOOモデル動物にグリベックを投与したところ,排尿圧を変化させることなく,non-voiding contractionを抑制し,排尿間隔を延長させることが判った。この結果からKitがICC様細胞を介して過活動膀胱の発症機序に関与している可能性が示唆された。
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