2008 Fiscal Year Annual Research Report
過活動膀胱の膀胱興奮性におけるkit陽性細胞の役割
Project/Area Number |
19791117
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
窪田 泰江 Nagoya City University, 大学院・医学研究科, 助教 (00381830)
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Keywords | 過活動膀胱 / kit / 間質細胞 |
Research Abstract |
1)BOOモデル膀胱におけるKitおよびStem Cell Factor(SCFの発現 モルモットBOOモデルを作成し、KitおよびKitを活性化するリガンドであるSCFの局在と量的変化につき検討したところ、Kit陽性間質細胞は、BOOモデルの膀胱粘膜下層および漿膜側を中心に、正常膀胱に比べ増加していた。またSCFは尿路上皮を中心に発現が増加していた。また膀胱摘出前に排尿記録や膀胱内圧測定を行い、閉塞膀胱の機能的変化を検討した。閉塞膀胱では1回排尿量が正常と比べ有意に減少しており、排尿間隔が短縮され、non-voiding contractionも異常に増加していた。 2)ICC様細胞の超微細構造からみた過活動膀胱の発症機序 正常膀胱に紡錘形をしたICC様細胞の細胞質にはミトコンドリアや粗面小胞体が豊富に存在し、細胞同士が互いに連絡しあって、神経・平滑筋とも密接している像を観察した。BOO膀胱においてはICC様細胞が一部変形しており、これらの微細構造の変化が過活動膀胱の発症につながっているものと推察された。 3)BOOモデル膀胱におけるKit制因子(グリベック^<R>)の作用機序 Kitを抑制する因子であるグリベック^<[○!R]>は、BOOモデルにおいて排尿圧を変化させることなくnon-voiding contractionを抑制し、排尿間隔を延長させることが判った。この結果からKitが間質細胞を介して過活動膀胱の発症に関与している可能性が示唆された。 以上の研究結果から、膀胱伸展時や刺激時に粘膜上皮から放出される伝達物質が、膀胱粘膜下層に存在するKit陽性間質細胞を介し、C線維に伝えられることにより膀胱の知覚過敏が生じ、尿意切迫感や膀胱容量の減少といった過活動膀胱の症状を引き起こしている可能性が示唆された。またKit抑制因子により、異常な情報伝達を抑制できれば新たな治療法の開発が期待される。
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