2007 Fiscal Year Annual Research Report
男性不妊とART後の流産におけるインプリント遺伝子のDNAメチル化の解析
Project/Area Number |
19791131
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 史彦 Tohoku University, 病院, 技能補佐員 (20400343)
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Keywords | 男性不妊症 / ゲノムインプリント / DNAメチル化 / ART |
Research Abstract |
【具体的内容】・検体の登録:精液検査を受けた患者の精子(現在までに97症例 本年度50症例)でほぼ100%に達した。精液検査により正常群と異常群(乏精子症;18症例)に分類し年齢、既往歴、生活歴、常用薬等の患者情報を登録した。精子は体細胞の混入がないように、swim-up法にて精子細胞のみを回収し、DNAを抽出した。・インプリント遺伝子のDNAメチル化解析:卵子型インプリント(LIT1,ZAC,PEG1,PEG3)と精子型インプリント(H19,RASGRF1,GTL2)の7種類について、Bisulphite(BS)-PCR法でDNAメチル化について解析した。メチル化の定量はCOBRA法とシークエンス法で行った。コントロールには末梢血DNAを用いた。精子におけるメチル化解析の結果:97検体中、24検体(24.7%)でそれぞれ1〜3遺伝子のメチル化に異常が確認された。遺伝子別にみると、14.4%(14/97)が父方メチル化の異常を持っており、20.6%(20/97)が母方メチル化遺伝子に異常を持っていた。その中で、父方、母方両方に異常を持っているのは45.8%(11/24)であった。また、精子濃度との関係を調べてみたところ、5×10^6/ml以下(乏精子症)の群で83%(5/6)が、2種以上の遺伝子に異常を持つことが確認された。【意義】IVF-ETやICSIなどに用いる不妊症精子および流産産物のインプリント遺伝子のメチル化の解析を行い、異常の頻度、程度、影響を受けやすい遺伝子の有無に関する検討を行うことが学術的な特色で、独創点でもある。ART治療後の出生児について、出生時状況調査と1歳半と3歳児検診時における発育・発達調査によるインプリント異常の後方的分析はインプリント病の現状の把握となり意義は大きい。【重要性】また本成果は今後ARTを用いた不妊治療の安全性や危険性について評価される点で非常に重要である。
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