2008 Fiscal Year Annual Research Report
微小環境を含んだ乳癌および子宮体癌におけるエストロゲンシグナル活性化機構の解析
Project/Area Number |
19791132
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松本 光代 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 非常勤講師 (80400448)
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Keywords | 乳がん / マイクロアレイ / エストロゲン |
Research Abstract |
乳癌はその発生・進展にエストロゲン(E2)が関与するE2依存性腫瘍である。現在、その治療方針はエストロゲンレセプター(ER)の有無によって大きく左右される。我々は各患者癌細胞におけるE2シグナルの活性化をエストロゲン応答遺伝子群の発現をみることで、治療方針を決める各患者のより正確な情報が得られるのではないかと考えた。そこで本年度私は、27症例の原発性乳がん組織を用い、エストロゲン応答遺伝子36遺伝子を搭載したカスタムアレイ解析を試みた。カスタムアレイはオリンパスのFD10マイクロアレイシステムを用いて行われた。本システムは微量な検体量でのマイクロアレイを可能にしたシステムである。カスタムアレイ遺伝子発現解析の結果、原発性乳がん27症例はエストロゲン応答遺伝子群の高発現群と低発現群といった明確な2つのクラスターへと分類された。この分類はER、Her2の発現と有意に関連した。しかしながら、個々の症例をみると、ERが発現していないにもかかわらず、高発現群に分類された検体、またその逆にERは高発現しているにもかかわらず遺伝子群は低発現だったものが観察された。前者の場合、ホルモン療法をしつつも他の治療戦略を考えていた方が良いかもしれない。また後者の場合は通常すぐに化学療法の対象となってしまうが、ホルモン療法が奏功する可能性があると考える。今後、ますます個々人に向けた医療が重要になってくる中、本研究の意義は深いと考える。現在、論文にまとめている最中である。
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Research Products
(5 results)